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とある六位の火竜<サラマンダー>
連続虚空爆破(グラビトン)事件
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のことを爆発現場にいる白井のもとに向かった初春達にも伝えてもらえるように頼んでから木山の研究所に向かう。これまでずっと感じていたレベルと能力の矛盾を知れることを期待して。





「失礼します。」
「ずいぶんひどくやられたようだね。」
「だから帰りたかったんですよ……。で、さっきの電話、どういうことですか?」
「まあそういうな。とりあえずそれを見てくれ。」

間もなく木山の研究所に到着した蓮は顔を不機嫌そうにゆがめながらソファに座り、デスクのパソコンに向かっている木山に聞く。それに直接は答えずに木山はパソコンから目をそらし、テーブルの上を指さした。

「んっと……音楽プレイヤー……ですか?」
「中身の音楽は聞かない方がいい。高レベルの能力者が聞くとどうなるか分かったものではないからね。」

そこに置いてあったのは音楽プレイヤー。イヤホンで中の音楽を確認しようとした蓮にくぎを刺し、木山は蓮の向かいのソファに座る。

「レベルアッパー。聞いたことくらいはあるんじゃないか?」
「……まさかこれがそうだと?」

蓮の言葉に木山はうなづいて肯定の意を示す。

「そんなもの、なんで先生が持ってるんですか。」

蓮の声色が固いのは信じたくないからだろう。レベルを苦労してあげた蓮としては正直あってほしくはないものである。その蓮の気持ちに気づいている木山はため息をつき、蓮に説明を始める。

「この音楽を聴くことによって使用者の能力が向上するのは単なる副作用だ。音による共感覚性を利用し、使用者の脳をつないでいる。」
「……つまり、他の同系統の能力の人の能力の使い方を無意識に感じれるから能力が向上すると。でもなんでそんなこと……?」
「つないだ脳の集約点は私の頭なんだよ。この脳のネットワークを広げていけば、ツリーダイヤグラムを超える演算処理が行える。」

理屈を把握した蓮は納得したようにうなづく。詳しい研究内容はわからないが蓮でも納得できる内容だった。それに、この方法を使えば蓮のやりたいこと。願いがかなう。

「この方法を使えばみんなを助けるためのシミュレーションが行える……!!」
「そうだ。そこで神谷。君にはこのレベルアッパーを広めるのを手伝ってほしい。」

木山の言葉に一瞬複雑そうな表情を見せた蓮だがすぐにうなづく。願いを、目的を果たすためならば自分の感情など些細なことに思わなくてはいけない。

「……いいのか?神谷の苦労を、これまでを完全に否定するものだということはわかっているし無理はしなくてもいいが……」
「問題ないです。それにあいつらがいない時点で俺の過去なんて意味のないものですから。」

蓮はそう言って音楽プレイヤーを握りしめる。その様子を見て木山は少し顔を苦しげに歪めると話を続ける。
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