連続虚空爆破(グラビトン)事件
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んも白井さんも松野さんもみんなほんとに……ほんとに心配したんですから……」
「初春……」
勢い良くまくしたてていた初春の言葉が小さくなっていく。顔をうつむけ、蓮の寝るベッドのシーツをぎゅっと握りしめる初春の手に一滴の涙がこぼれた。声を大きくしたのは涙をこらえるためであり、蓮が目覚めたことで心配していた気持ちから安堵や喜びや無茶した蓮への憤慨など多くの感情をどうすればいいのか分からなくなったのだろう。
「丸2日です……。丸2日も目を覚まさなかったんですよ?神谷さんに何かあったら……。神谷さんがいなくなっちゃったら私、どうすればいいんですか……」
絞り出すような声はすでに泣いていることを隠せなくなっている。表情は見えないが、初春の涙が握りしめた手の甲をつたいシーツを濡らした。その様子を見て、蓮は自らのしてしまったことの重大さを知る。大切に思う人がいなくなる恐怖は耐え難いものがある。蓮自身が嫌というほどわかっているそのつらさを周りの人々に味あわせてしまった。自分を大切だと思ってくれている人たちに。
「……ごめん。初春、心配かけた……。ほんとにごめん……。俺は絶対いなくならないから。」
そういいながら蓮は初春の頭にポンと手を置く。泣いてることには気づいているがあくまでも見ないように顔をそらしながら。心配させ、言いようのない不安を与えてしまったせめてものお詫びとして、できるだけ優しく初春の頭を安心させるように撫でてやる。
「……もう絶対にこんな無茶しないでくださいね?私たちの前からいなくなったりしないでくださいね?」
「うん、約束する。絶対に初春達のそばにいるから。もう心配かけないから。だからもう泣くな。病人にいきなり泣き顔みせんな。」
「な、泣いてないですよ!!」
うつむいたままそんな風に言ってくる初春と約束し、蓮が茶化すように言ってやると初春はばっと顔を上げて反論する。その眼は真っ赤で涙の跡が光っていたが、涙は止まっていた。
「ほんとかー?」
「ほんとですよ!!もう!皆さんに連絡してくるのでちょっと出てきます!……約束守ってくださいね。」
「……うん、絶対守るからな」
にやにやとしながら聞く蓮に初春は頬を膨らませながら言うと、電話を手に部屋から出ていく。蓮はそれを笑顔で見送ると小さくつぶやく。そして、起こしていた体をベッドに倒れこませた。
「いってえ……!!!さすがにきっつい……!!!」
「無茶をするねえ。心配をかけたくないのはわかるけどそのケガじゃ体起こすだけでもきついだろう?」
「誰ですか、あんた……」
そんな様子の蓮に声をかけたのはカエルのような顔で白衣を着た男。蓮は力なく、初春と入れ違いに部屋に入ってきたその男に問いかける。男の言うとおり、身体中の激痛に正直初春が戻ってくる間く
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