連続虚空爆破(グラビトン)事件
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蓮の周りは真っ暗だった。右も左もどこを見てもまったく見通せない暗闇。自分がどのような体勢なのかも判然としない。その状態の中、蓮の視界に見覚えのある人影が浮かび上がった。
「……陸?」
そこには今最も会いたい、話したい人物の姿。その人物は蓮に向かって悲しげな表情を見せる。いつの間にかその周りには同い年ほどの少年、少女が悲しげな表情で立っていた。
「みんな……?なんで……あ、待って!!」
蓮の声には答えず、彼らは反対方向を向き、遠ざかって行ってしまう。蓮は必死に手を伸ばす。そちらに行こう、引き留めようとするも体がうまく動かせずに距離はどんどん開いていく。
「待ってよ……!ねえ!!いかないで!!陸!!みんな!!!!」
顔を苦悶の表情に歪め、大声を出しながら蓮は届くはずのない右手を必死に伸ばす。蓮のそんな気持ちもむなしく、彼らは1度も振り向くことなく離れて行ってしまう。蓮はそれでもあきらめずに手を伸ばし続ける。諦めるわけにはいかない。
「行かないで……行くな!!みんな!!!!」
「……さん!…丈夫ですか!?神谷さん!!」
「っつ!!!!!っはぁ……はぁ……夢……?」
隣から聞こえてきた声に目が覚めると、蓮は右手を天井に伸ばした状態でベッドに寝ていた。気持ちの悪い汗をかきながら見る天井は見覚えがなく、ベッドも自宅のものとは違うようだ。状況がつかめず、横を向くとそこに人がいるのが目に入った。
「……初春……?」
「神谷さん……目が覚めたんですね……よかった……!!うなされてるから何かあったのかと……」
初春がほっとしたように言っている言葉の意味を把握できずに、蓮は周りの確認をしようと体を起こす。その時、身体中に痛みが走った。
「痛っ……!!!!」
「だ、ダメですよ、神谷さん!まだ傷がふさがりきってないんですから!」
(ああ……そっか。俺、爆発止めようとして……)
体の痛みと初春の言葉でようやく状況を把握。意識してみると、体のいたるところに包帯が巻かれているようだった。特に脇腹の傷が深いらしく、蓮に焼けるような痛みをもたらしている。
「神谷さん、ほんとに大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫。ちょっと寝起きで頭働かなかっただけだよ。それより、なんか心配かけたみたいでごめんな?」
「大丈夫ならいいんですけど……そんなことよりほんとですよ!!」
「うわっ!え、えーっと……う、初春……?」
心配ないというように笑顔を見せる蓮に唐突に初春が叫ぶ。突然のことに蓮がきょとんとしながら、なんとか初春の名前を呼ぶが初春は厳しい表情で蓮につめ寄る。
「ほんっっとうに心配したんですよ!!神谷さんが爆発に巻き込まれて大けがしたって……無茶しないで下さいよ!佐天さんも私も御坂さ
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