憎悪との対峙
37 何処から見るのか
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握るハートレスがいた。
「おい!メリーは!?」
「落ち着きなさい!!無事よ!!」
ハートレスは放っておけば、暴君のように部屋で暴れかねないくらいに取り乱すスターダストの両肩を押し返すように制止させる。
「ワクチンチップが効いたのよ!消耗してるけど、命に別条はないわ!!それより追手は!?」
「全員、倒したさ!!それより本当に大丈夫なのか!?」
「大丈夫...ですよ?」
「!?」
その時に聞こえた弱く儚い声がハートレスに殴りかかりそうな勢いのスターダストと止めた。
「ヒナ...」
「ありがとうございます...おかげで助かりました...」
「良かった...」
メリーは笑顔でスターダストを見上げていた。
若干、疲れ気味で力が抜けているが、いつもの可愛らしさは衰えていなかった。
スターダストはベッドの前で跪く。
その様子を見ていたアイリスとハートレスには緊張の糸がぷっつりと切れ、操り手を無くしたマリオネットのように見えた。
メリーも安心して微笑む。
そしてスターダストの方に手を伸ばした。
「うっ...」
しかし次の瞬間、スターダストは顔を歪めた。
糸が切れたことで今まで堪えていたものが一度に襲いかかってきたのを押し殺すような、小さくて低い声だった。
その直後、スターダストの体は光り出し、その光が一度に崩れて電波変換が解ける。
「あぁ...」
「!?サイトくん!」
「ちょっと...どうしたのよ!?」
光の粒の中から姿を現した彩斗はそのままメリーの横たわるベッドに倒れ込んだ。
「体が重い...クッ...」
「サイトくん、血が...それに身体中アザだらけよ!」
「酷い...それに普通のダメージだけじゃない...」
彩斗の姿は一見、問題なさそうに見えた。
だが服をめくれば目立たないところに幾つものアザと口からの大量の吐血、そして異常なまでの疲労が見て取れた。
戦闘でのダメージ自体は大したことはないのかもしれないが、彩斗を苦しめているのは疲労の方だ。
「大丈夫...喉を潰しただけさ...」
確かに彩斗は先程まで声を裏返して声色を変えていた。
無理に普段の中性的な声からホラー映画の怪物のような低くドスの利いた声にしていたために喉から出血したのは納得だった。
だがこの出血量も疲労も異常だった。
今のような歩くことも出来ない程の疲労を抱えて、つい数分前までいつでも敵が襲ってくれば戦闘できるような状態だったというのだ。
もはやメリーも上半身を起こし、自分の足の上に横たわる彩斗を心配して自分の疲労を忘れてしまっている。
「少し...休ませて...」
彩斗は必死に笑顔を作って3人を安心させようとしているようだが、あからさまに作り笑いな上、
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