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流星のロックマン STARDUST BEGINS
憎悪との対峙
37 何処から見るのか
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思ったことなど一度も無かった。
それは何処から見るのかによって変わってしまう価値基準だからだ。
救い出された人質たちからすればヒーローでも、暴力によってなんの権限も無く敵を制圧している以上は法の外の存在、すなわち警察組織からすればただの悪人に他ならない。
だから今は自分が何なのかは全く考えないようにしていた。
ただ自分の目的を遂行するために動く存在として動く。
その結果としてWAXAに味方している部分もあれば、WAXAの敵として追われるという側面があるというだけの話だった。
スターダストはクラッチを握り、ペダルを踏み上げてシフトアップするとグリーンタウンのメインストリートに入った。
名前の通り、多くの木々や花々が道を彩り、蓮の花が浮かぶ池がいくつもある。
イリュージョンが通り過ぎる度に花びらが舞い、秋の夜空を彩った。

「ん?...騒がしいのぉ...じゃが...なかなかいい風じゃ」

すぐ側の公園からその光景を見ていた老人はエンジン音を鬱陶しく思ったものの、そのマシンが起こした風が創り出した景色にうっとりと心奪われた。
しかしすぐにパトライトとサイレンを鳴らしながら、イリュージョンを追う大量のハンターとチェイサーが通り過ぎてそれを打ち消した。

「今夜は忙しいのぉ...」

スターダストは裁判所の前を通り過ぎ、岬の方へ向かう。
才葉シティが海に面している部分が多く、警官隊からすれば今度こそは逃げ道を断つチャンスだ。
しかし徐々に距離が広がっている。

「くっそ!!一体何キロ出してやがる!?」

ハンターは最高時速260km/h、チェイサーも最高時速280km/hだというのに追いつくどころか離されているのだ。

「300km/h以上出てますよ!!」
「落ち着け!!もうすぐ岬だ。挟み撃ちで今度こそ確保するぞ!!」

スターダストは岬へと入る。
そしてその奥へとイリュージョンを走らせた。

「もうすぐだ...あと100メートル...!」

アクセルを開き、海の方へと一直線に進んでいく。
だがこのままでは海に真っ逆さまだ。
WAXAのパトカーは思わずブレーキを踏んだ。

「オイオイ!!アイツ、海に突っ込む気か!?」

『止まれ!!危ないぞ!!!』

拡声器で警告するも、スターダストは止まらない。
そして遂に道路という陸の境界線を踏み越えた。

「!?...」

思わず目を伏せた隊員も多かった。
当然ながら誰しも死ぬ瞬間というのは見て楽しいものではない。
その場にいた誰もがスターダストの死を予感した。
WAXAに追い詰められ、そのまま逃げ場を無くして海へ落下したのだと。
だがその予想は外れた。

「!?...浮いてる!?道が無いのに走ってるぞ!?」

「飛んでる
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