【ゼロの使い魔】編
056 それから…
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リアだった土地を俺に押し付けようとしているのは判っていたので──
「トリステイン国は異存ありませんわ」
「ゲルマニア国も異存なし」
「アルビオン国も異存なし」
「提案者は俺だ。故に当然、ガリア国も異存はない」
国なんか統治するつもりも無い俺は周囲の反対≠得つつ、やんわりと断ろうとしたら、俺のその言葉に被せるように各国の首脳が間髪を入れずに次々と宣う。
(あれ…? 詰んでる…?)
……何のことも無い。ジョゼフは既にロマリアを俺に委せる(押し付ける)事を各国の首脳に周知していただけ。……それに気が付いた時には、時既に遅し。俺に出来る事が有るとすれば、内心で何の汚れも無い白旗を両手で降って降参することだけだった。
(……嗚呼、やられた…)
……舐めていた。俺はジョゼフ・ド・ガリアと云う──宮廷雀飛び交う宮殿で、文字通りその身1つその舌1つで生き抜いてきた百戦錬磨のこの傑物を舐めていた、侮っていた。それに、漸く先ほどジョゼフが薄く微笑みを浮かべていた理由も判った。ジョゼフからしたら、これはちょっとした俺への意趣返しだろう。
今のところ一アルビオン貴族でしかない俺にそんな首脳陣の意見を翻させる様な弁舌を持ち合わせているわけもなく──
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……と、まぁそんなこんなでジョゼフにやり込められた。書かなければならない書類を纏めていたら、この1ヶ月間は目まぐるしく過ぎ去り、今や建国セレモニーの真っ最中。
……ちなみにこれらは余談だが…この元・ロマリアの土地、委任≠ニ云う形は何だかイヤだったので、自腹を切って──他の4国家に財を出して買った。……一国を丸々買う事になったので、それはそれは大層な散財になってしまったが、それもまた致し方無しだろう。……そこでまた、ジョゼフに買わされてる感≠ェ凄まじかったが…。……名前が騎士≠ゥら変わっているのも仕様である。
閑話休題。
地を、肌を揺るがしていた歓声も止んだ。やがて、建国セレモニーも恙無く終了させる事が出来た。……ヒラガ公国の建国1日目は笑顔の絶えない1日として過ぎ去っていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ヒラガ公国が──自分の国の建国から、1日、1週間、1ヶ月、1年、10年…そして、やがて80年近くもの歳月が流れた。……元・ロマリアの土地を再興させる為に、色々な策を施行した。例えば、あの手この手で国民の意識改革を促したり、識字率を上げる為に学校の様なものを建設したりもした。……果てには、エルフや翼人などの、言葉の通じる亜人≠ニの交渉の先鋒にも立ったたりもした。
……いつしか、ヒラガ公国は≪希望の国≫と呼ばれるようになった
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