第三章
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第三章
「さあ、どうするの?」
「断ることはできないんだな」
「そういうこと。私も必死なのよ」
顔がさらに赤くなる。もう真っ赤に近い。
「恥ずかしいんだから。わかるわよね」
「わかったよ。俺も恥ずかしいけれどな」
そうは言うが表情も顔色も変わらない。姿勢もだ。
「いきなりこんなの言われてな」
「で、どうするの?」
また廉に問うてきた。
「返事を聞きたいのだけれど」
「わかったさ」
まず言葉のワンクッションを置いた。
「言うな。それでいいな」
「ええ。それで返事は?」
麻里の喉がゴクリと鳴ったのが見えて聞こえた。
「今すぐ聞きたいのだけれど」
「今すぐにか」
「そうよ。どうなの?」
あらためて彼に問う。
「どうなのかしら」
「断ることは許さないんだよな」
廉は言った。
「だったらさ。それでいいさ」
「いいの」
「だから。断ることは許さないんだろ」
そこをまた言う。そもそも断れないような状況の中で話を出してきているのだから確信犯である。それを言ってももう遅いのであるが。
「それに俺もな」
「あんたも?」
「人のその言葉を拒んだりはしないさ」
「言ったわね」
麻里もそれを聞いて不敵な笑みになった。赤い顔が消えてしまっていた。
「また随分と余裕ね」
「余裕も何も俺のことが好きなんだろ」
「うっ・・・・・・」
それを聞いて今度は言葉を詰まらせてきた。図星だったようだ。
「ま、まあそれはね」
「そうなんだな。だったらいいさ」
「いいの」
「だから俺に言ってきたんだろう?」
そこをまた言う。言葉が完全に麻里に向けられていた。
「俺もだ」
「あんたもって」
今度は麻里が目を顰めさせる番だった。目も白黒させていた。
「何が何だかわからないんだけれど」
「だから。あれだよ」
何と廉の顔が赤くなった。微かにであるが。
「俺も御前のことがだな」
「そうだったの」
「だからだ。つまり」
「・・・・・・わかったわ」
そこまで聞いて今度はその白い顔を完全に紅にしてしまう麻里であった。
「それじゃあ。御願いね」
「ああ、こちらこそな」
二人で言葉を交えさせるのだった。何だかんだではじまった恋。それはポーカーのチップからだった。こんな恋もあったりするのだ。
チップは恋 完
2008・2・28
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