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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十一話 罪を負う者
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だぞ」
憤然とするリヒテンラーデ公に対してヴァレンシュタインが冷笑を浴びせた。

「ローエングラム侯排斥、その情報はリヒテンラーデ公の所から漏れた」
「馬鹿な、そんな事は……」
「未だ分からないのか、彼が何故ここに居るのか?」
ヴァレンシュタインがワイツを指差した。ワイツの顔が蒼褪めリヒテンラーデ公が顔を強張らせて“馬鹿な”と呟いた。

「人間には目と耳が二つある。ローエングラム侯にとってフロイライン・マリーンドルフが目と耳の一つならもう一つはワイツ補佐官だ」
「……」
「カストロプの動乱、あの時討伐隊の指揮官にローエングラム侯はジークフリード・キルヒアイスを推薦した。だが公は年若く実績の無いキルヒアイス提督を危ぶんだ筈だ。もっともらしい理屈で公を説得したのは誰だ?」

リヒテンラーデ公がワイツ補佐官を睨んだ。
「そうなのか、卿なのか」
「違う、私じゃない、違います!」
「無駄だ。ローエングラム侯からは彼に金品が贈られている。調べればすぐ分かる事だ。先帝陛下暗殺に関わった罪は重いぞ」
ワイツが呻いた。絶望している。リヒテンラーデ公の顔が屈辱に歪んだ。

「……何故だ、あれほど眼をかけてやったのに」
「年寄りだからだ」
ヴァレンシュタインが冷淡に告げた。
「……」
「先の短い老人よりも先の長いローエングラム侯にかけた、それだけだ。不思議ではない」
今度はリヒテンラーデ公が呻いた。

「分かったか、先帝暗殺の責任の一端はリヒテンラーデ公に有る、にも拘らずよくも掌を返してくれた。御蔭で我らは反逆者になった」
「……」
「自分が何をやったか、分かっているのか? 公を国務尚書にまで引き上げたのは先帝陛下であった。その先帝陛下を暗殺した者共と手を組んで先帝陛下の御息女、その令嬢を反逆者にした。そして唯一の男子を傀儡として利用した。全て保身と野心のためだ、恥を知らぬにも程が有る! クラウス・フォン・リヒテンラーデ! 先帝陛下の御恩情を忘れたか! この不忠者が!」
リヒテンラーデ公が呻きながら顔を両手で覆った。そんな公をヴァレンシュタインが冷酷な眼で見下ろしていた。




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