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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十一話 罪を負う者
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ーエングラム侯が帝国の覇権を握れば公文書の無い貴族は取り潰されても文句は言えない。その時ローエングラム侯は思うだろう。フロイライン・マリーンドルフの御蔭で戦う事無く邪魔な貴族を潰す事が出来た、彼女は役に立つとね。……マリーンドルフ伯爵家は権力者の信頼を得て勢力を伸ばす。貴族達の血肉を肥料にして大きくなる。……おぞましい事だ」
皆が視線に嫌悪を込めて彼女を見た。否定しないという事は事実なのだろう。しかし二十歳そこそこの女性がそこまでやるのか? 信じられないが事実ならば目の前に居る伯爵令嬢は化け物に違いない。オフレッサーも嫌悪の表情を浮かべている。
「お分かりかな、リヒテンラーデ公。彼女を甘く見ない事だ、死にたくなければね」
「……」
リヒテンラーデ公は答えなかった。だが誰よりもヴァレンシュタインの言った事を実感している筈だ。フロイラインを見る公の視線には嫌悪以上に冷酷な光が有った。危険で油断出来ない敵と認識した、そういう事だ。
「フロイライン、皆の視線が痛いかな」
「……」
「気にしない事だ、貴方達の中には他人を非難出来る様な立派な人間は居ない」
皆の視線がヴァレンシュタインに集中した。そしてそれぞれを見回した。不安、怯え、疑心……。この男は、この女は、何を隠しているのか……。
「そこに居るローエングラム侯の姉君は先帝陛下、フリードリヒ四世を暗殺した」
皆の視線がグリューネワルト伯爵夫人に集まった。伯爵夫人が顔面を蒼白にして“何を言うのです”と抗議したがヴァレンシュタインは“無駄ですよ”と笑いながら遮った。
「既にリヒテンラーデ公はその事実を御存じだ」
今度はリヒテンラーデ公に視線が集中した。グリューネワルト伯爵夫人はまるで幽霊でも見たかのような表情で公を見ている。そして公は苦虫を潰したような表情をしていた。オフレッサーが頻りに首を振っている。信じられないのだろう。
「反乱軍が大軍で帝国領に押し寄せた時の事だ。ローエングラム侯は辺境星域で焦土作戦を執る事で反乱軍の補給を破綻させた。そして大勝利を収めた。しかし当然だが辺境では侯に対して怨嗟の声が上がった。政府、大貴族が協力してそれを口実にローエングラム侯を排除しようとした。それを知ったローエングラム侯、おそらくはオーベルシュタイン総参謀長の独断だとは思うが貴女に皇帝を殺すようにと頼んだ」
伯爵夫人の顔が強張った。
〜もう少しだった、もう少しで排除出来る筈だった。だが伯爵夫人が皇帝を殺害した。その瞬間から後継者争いが勃発、ローエングラム侯排除は吹き飛んだ。何よりもリヒテンラーデ公がローエングラム侯と手を組んでブラウンシュバイク、リッテンハイム両家を反逆に追い込んだ〜。ヴァレンシュタインの話が続く。
「リヒテンラーデ公は全てを知っている。知っていてロー
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