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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十一話 罪を負う者
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てが押し潰されてしまうだろう。

「リヒテンラーデ公、貴方はフロイライン・マリーンドルフを御存じか?」
「顔と名前ぐらいは知っておる」
公の立場ではそれが精一杯だろうな。むしろ知っているのが不思議なほどだ。マリーンドルフ伯爵家は決して大貴族というわけでは無い。まして二十歳前後の小娘など……。

ヴァレンシュタインの口元に冷ややかな笑みが浮かんだ。
「その程度か、やはり貴方はローエングラム侯に勝てない」
「……」
リヒテンラーデ公の口元に力が入った。不満のようだ。
「彼女はオーディンにおけるローエングラム侯の目であり耳なのだ。いわば貴方の監視役だ、それを知らないとは……」

今度は声にも嘲笑が有った。リヒテンラーデ公が厳しい眼で彼女を見た。そしてワイツとオフレッサー、グリューネワルト伯爵夫人は驚いている。自分も驚いている、彼女がローエングラム侯の目と耳? 彼女も驚いていた、信じられないというようにヴァレンシュタインを見ている。だが否定はしなかった、では目と耳というのは事実か……。

リヒテンラーデ公が口元を歪めた。嘲笑だな、この小娘に何が出来る、そんなところか。低い笑い声がした、リヒテンラーデ公ではなかった、笑っていたのはヴァレンシュタインだった。リヒテンラーデ公を見ながら嘲笑っている。ギョッとするほど悪意に満ちた笑いだった。どういう事だ、何が有る? オフレッサーと顔を見合わせた。彼も驚いている。

「この小娘に何が出来る、公はそう御思いの様だ。フロイライン・マリーンドルフ、教えてあげては如何かな? 貴女に出来る事、してきた事を」
「……」
フロイラインは答えない。蒼白な顔をして押し黙っている。

「恥ずかしがる事は無いのに……。良いだろう、私が話す」
フロイラインの身体が一瞬だが強張った。それを見てヴァレンシュタインがまた嗤った。おかしい、何故こんなにも感情を露わにするのだ。言い様のない不安を感じた。オフレッサーが居心地悪げに身動ぎした。

「彼女はローエングラム侯に味方すると申し出た折、家門と領地を安堵するという公文書を貰っている」
「……」
「その後、彼女は知人縁者を説得してローエングラム侯に味方させた。しかしその大部分が公文書を貰っていない」
エルウィン・ヨーゼフを除く皆がフロイラインに視線を向けた。フロイラインはブルブルと震えている。

「リヒテンラーデ公、お分かりかな、その意味するところが」
「味方を売ったという事か」
公の声は嫌悪に満ちていた。ヴァレンシュタインがまた嗤った。
「味方? 最初から彼女にはそんなものは居ない。彼女はマリーンドルフ伯爵家を大きくするために肥料を求めただけだ。馬鹿な貴族がそれに気付かず肥料になった」
フロイラインの震えがさらに大きくなった。

「いずれロ
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