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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十一話 罪を負う者
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。内心では同じ思いなのかもしれない。

「リューネブルク中将、あの太った女性は?」
「乳母だ、面倒なので一緒に連れてきた」
余程に嫌な思いをしたのだろう。リューネブルク中将の声にはウンザリという響きが有った。オフレッサーが同情するかのような視線で中将を見ている。彼も嫌な思いをしたのかもしれない。

「ヴァレンシュタイン提督が御戻りになられました! グリューネワルト伯爵夫人も一緒です」
オペレータが声を上げると艦橋の彼方此方から歓声が上がった。三人で顔を見合わせた。オフレッサーもリューネブルク中将も満足そうな顔をしている。
「五人揃ったようですな」
「うむ、どんな役が出来るのか……。ストレートか、フラッシュか」
「ワンペアでブラフという事も有る、楽しみですな」

顔面蒼白な伯爵夫人とエーリッヒが艦橋に戻ったのは十分ほどしてからだった。他の四人が揃っているのを見ると俺達を見て満足そうに頷いた。そして直ぐに幼児の躾けを始めた。騒ぐな、走るな、言う通りにしろ。喉を締め上げ額にブラスターを押し付けながらの教育だ。幼児はたちまち大人しくなった。上手い物だ、一般向けではないが覚えておいて損は無いだろう。代わりに騒いだのは乳母だったが“三日間食事抜き、強制ダイエット”と冷笑するとこちらも大人しくなった。女子供の扱いが意外に上手い、正直感心した。

その次に行ったのは指揮官席の周りに椅子を用意させた事だった。遮音力場の中に席を五つ。五人の囚われ人が椅子に座った。そしてオフレッサー上級大将とリューネブルク中将が指揮官席の両脇に立つ。俺は遮音力場の外で待機する事になった。他にも囚われ人が逃げないように兵が取り囲んでいる。一体何を話すのか、遮音力場を使うという事は余程の話の筈だが……。



帝国暦 488年  7月 20日  オーディン ヴァレンシュタイン艦隊旗艦 スクルド  ヘルマン・フォン・リューネブルク



五人の客が席に着いた。幼児は乳母が居ない所為かおどおど、フロイライン・マリーンドルフは蒼白になりつつも気丈に、グリューネワルト伯爵夫人は俯いて座っている。ワイツはキョロキョロと落ち着きが無くリヒテンラーデ公は傲岸な表情でヴァレンシュタインを睨みつけていた。どうやら陛下への扱いが気に入らないらしい。

「エルウィン・ヨーゼフ、六歳では難しいかもしれないが……」
「ヴァレンシュタイン! 陛下に対し無礼であろう! 立場をわきまえぬか! 」
ヴァレンシュタインが無表情に叱責をしたリヒテンラーデ公を見た。
「立場? 私の立場は反逆者だ。貴方達が私を反逆者にした」
「……」

「反逆者は皇帝の臣下ではない、対等の立場だ。公こそ立場をわきまえた方が良いだろう、貴方は捕虜だ」
リヒテンラーデ公が忌々しげに口元を歪めた。ヴァ
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