第二章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第二章
「俺としては今のところこれといって賭けるものもないしな」
「それじゃあこれで決まりね。じゃあ」
「ああ、やるか」
こうして賭けがはじまった。二人は席に着いて居合わせたクラスメイトからそれぞれ五枚のカードを受け取った。まずは廉の番であった。
「何枚かしら」
「二枚だ」
彼は麻里に答えた。
「それじゃあな」
「ええ、どうぞ」
こうしてカードの交換になる。廉はその言葉通り二枚のカードを交換した。今度は麻里の番で彼女は一枚であった。交換したカードを受け取っても表情は変えない。
そのまま暫くカードを交換し合った。三回程であった。その最後の交換が終わったところで麻里が言ってきた。
「ストップ」
「これでいいのか」
「ええ。これでね」
「わかった。俺もそれでいい」
廉も頷いた。これで決まりだった。
二人はそれぞれカードを出す。麻里はフォーカード、廉はフルハウスだった。廉の勝ちだった。
「俺の勝ちだな」
「そうね」
麻里はにこやかに廉の言葉に頷くのだった。賭けをしているのにどういうわけか負けても平気な顔だ。しかも彼女は負けず嫌いだというのに。これが廉には引っ掛かった。
「じゃあいいな」
話を賭けに移してきた。
「それで。御前は何を考えているんだ?」
「それを知りたいのね」
「ああ。そもそも」
彼は言う。腕も足を組んで麻里を見据えながら。
「どうして急にポーカーをしようなんて言うんだ」
「それはね。言いたいことがあるからよ」
「言いたいこと?」
「最初は私が勝ってから言うつもりだったんだけれどね」
こう廉に述べる。
「けれど勝っても負けてもになったから別によかったわ」
「よかった」
廉はそれを聞いてもやはり今一つわからなかった。
「何なんだよ、そもそも御前」
「言うわ」
麻里はまた廉に言ってきた。
「私はね。あんたに言いたいことがあるのよ」
「俺にか。何なんだ?」
「付き合ってもらえるかしら」
こう言うのだった。
「私とね。いいかしら」
「!?それって」
廉は話を聞いて怪訝な顔になった。どうも話が掴めない。
「あれか!?つまり」
「そうよ、あれよ」
麻里の顔が少し赤くなった。それまでのポーカーフェイスのままだが顔の色だけが少しだけ変わったのだった。そこに表情が見えた。
「告白なのよ。わかるわね」
「御前、そうだったのか」
廉の目が動いた。しばたかせている。
「俺に告白する為にこうして」
「そうだったのよ。わかったわよね」
「ああ」
彼女の言葉に頷く。
「そういうことだったのか。それでここに」
「返事はどうなの?」
麻里は単刀直入に問うてきた。
「それを聞きたいのだけれど」
「俺も今はフリーだけれどな」
相手
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ