抉りて殺せ (2)
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真里亞ちゃんのことがよほど心配なのか固定電話の前で右往左往していました。
そんな楼座さんに応えるかのように、貴賓室の電話が鳴りました。
「ま、真里亞っ!?」
「『ママ、大丈夫?』」
「ええ、大丈夫よ。真里亞は...真里亞は大丈夫なの?」
「『うん。真里亞ね、今、狼さんとクイズで遊んでるの。狼さんね、面白いんだよ! それでね......』」
どうやら真里亞ちゃんの話は、狼銃さんとの楽しい時間の内容で、楼座さんの口から安堵の溜め息が漏れたのが分かりました。
「真里亞、次は大変な時に電話するのよ」
「『わかった!』」
真里亞ちゃんは元気よく返答し電話を切り、楼座さんは少し名残惜しそうに受話器を下ろします。すると、すぐに電話が鳴りました。
また真里亞ちゃんなのだろうと、楼座さんは少し呆れて受話器を取りましたが、電話の向こうの相手は真里亞ちゃんではありませんでした。
「『くすくすくすくすくすくす......』」
「え、誰? ......真里亞なの?」
「『はぁい! 妾の名はベアトリーチェ。今、貴賓室の部屋の前にいるのぉ』」
「ッ!?」
電話の向こうの不気味な声に寒気を感じ、思わず受話器を下ろしてしまいました。その光景に疑問を感じ、朱志香も電話の前に来ました。そして再び電話が鳴り、今度は私が電話を取りました。
「もしもし...? 誰なのですか、返事を」
「『はぁい! 妾の名はベアトリーチェ。今、貴賓室の中に居るのぉ』」
私たちが同時に振り返っても、部屋の中にベアトリーチェと名乗る人物の姿は見えず、声はまだ続きます。
「『おやおやぁ〜? 妾の姿が見えぬのかあ? 妾は、こんなにも近くにおるというのに...。くっひゃひゃひゃひゃ!』」
「ざっけんじゃねぇぜ! そこまで言うなら姿を見せてみろってんだ!」
「『いやいやいやいや...。朱志香、そなたが会いたいのは妾ではないであろう? 愛しの、愛しの嘉音くんだろおぉ? くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!』」
受話器越にベアトリーチェの笑い声が響く。
朱志香の目に、堪えていた涙が溢れていました。唇を噛み、今まで我慢していた想いが溢れてきている。好きな人に...嘉音に会いたい、と。そんな風に思っているような...。
「助けて...嘉音くん......」
「『だぁぁぁめぇぇぇッ! あっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!
さぁさ、おいでなさい。我が家具、煉獄の七姉妹。色欲のアスモデウス! 嫉妬のレヴィアタン! 強欲のマモン!』」
その声を最後に、電話からは何も聞こえなくなりました。その代わり、私たちの目の前に赤い衣装を身に纏った少女
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