第3部 始祖の祈祷書
第8章 コルベールの研究室
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「ウルキオラ君!ウルキオラ君!できたぞ!できた!これじゃないかね?」
コルベールは息急き切って、ヴェストリの広場で紅茶を飲んでいたウルキオラに近寄る。
突き出したワインの瓶の中に、茶褐色の液体があった。
「出来たか」
ウルキオラはコルベールの持ってきたワインの瓶の蓋を開けた。
臭いを嗅ぐ。
「まず、私は君に貰った油の成分を調べたのだ」
コルベールが得意げに言った。
「微生物の化石から作られているようだった。それに近いものを探した。木の化石……、石炭だ。それを特別な触媒に浸し、近い成分を抽出し、何日間もかけて『錬金』の呪文をかけた」
「ガソリンだな。正直驚いた」
ウルキオラはワイン瓶の蓋を閉め、それをテーブルの上に置いた。
「お前は、どうやらただの変人ではないようだ。俺が出会ってきた人間の中で、一番の才能を持つ人間だ」
ウルキオラは嘘偽りなく、コルベールを賞賛した。
「いや〜、ウルキオラ君にそう言われると、嬉しいですな〜」
コルベールは満更でもない表情である。
「後は量だな」
ウルキオラはワイン瓶を見つめながら言った。
「ふむ、やはりそれではたらんか…」
コルベールは顎を撫でながら言った。
「どのくらい必要なのかね?」
「そうだな、せめて、樽で五本分は必要だな」
「そんなに作らねばならんのかね!まあ乗りかかった船だ!やろうじゃないか!」
コルベールが研究室に戻ったあと、ウルキオラはゼロ戦に触れ、考え事をしていた。
あの時の声が、どうしても空耳には聞こえなかった。
まるで……。
そんな風に夢中になっていると、ルイズがやってきてウルキオラに声をかけた。
「夕食の時間よ。真っ暗になるまで、何をやってるの?」
「ちょっとした考え事だ」
ウルキオラは振り返りもせずに答えた。
「あんたは私の使い魔でしょ。勝手な事しちゃダメ。あと、五日で姫様の結婚式が行われるの。私、その時に読み上げる詔を考えてるんだけど、なかなか思いつかないの」
「知るか」
ウルキオラはゼロ戦に触れる。
もう一度、聞きたいと思った。
何故だかわからないが、非常に気になるのだ。
ルイズはウルキオラの腕を引っ張った。
ウルキオラは帰ってくるなり、全く自分の相手をしないので、つまらないのであった。
「私の話、聞いてよ」
「なんだ」
「なんだじゃないわよ。聞いてないでしょ!」
「ああ」
ルイズはずっこけそうになった。
「主人の話を聞かないなんて…そんな使い魔はいないんだから!」
「ここに居るが?」
「ああ、もう!屁理屈言わないで!」
それ
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