第3部 始祖の祈祷書
第8章 コルベールの研究室
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にや笑いを浮かべた。
「ウルキオラ、ご主人様を泣かせたら、いかんのじゃないのかね?」
キュルケがつまらなそうに、
「あら、もう仲直り?面白くないの」
と呟いた。
タバサが二人を指差して、
「雨降って地固まる」
と、言った。
その夜……、ルイズは枕をぎゅっとつかんで、ベッドの上に寝そべっていた。
一生懸命に、何か書物を読んでいる。
ウルキオラはほぼ一週間ぶりにルイズの部屋を見回した。
食器が転がっている。
ウルキオラは溜息を吐いた後、食器を拾い上げ、机の上に重ねた。
そして、椅子に座り、本を読み始めた。
暫く沈黙が続く。
ルイズは寝返って、ウルキオラを見つめた。
椅子に腰掛け、足を組み、書物を読んでいた。
なんとも様になっている。
ルイズは心臓が高鳴るのを感じた。
「ウ、ウルキオラ…」
ルイズは小さく呟いた。
「なんだ?」
ウルキオラは書物から目を離さずに答えた。
「その、あのね…」
ルイズは言いにくそうに言った。
ウルキオラは書物から目を離し、ルイズを見つめた。
布団で顔が隠れている。
「はっきり言え」
「その…ま、また私の使い魔になってくれる?」
ルイズはビクビクしながら言った。
ウルキオラは答えない。
沈黙が流れる。
ルイズは不安でしょうがなかった。
ウルキオラは本を開き、再び読み始めた。
「無論だ」
ウルキオラの言葉に、ルイズは飛び上がった。
そして、顔を真っ赤にした。
「あ、ありがとう…」
「聞こえん」
ルイズの余りの小さい声にウルキオラは聞き取れなかった。
「なんでもない!」
ルイズは満面の笑みでそう言って、布団の中に潜り込んだ。
それから三日が過ぎた。
鶏の鳴き声で、コルベールは目を覚ました。
いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
この三日間というもの、授業を休み、研究室にこもりっぱなしであった。
彼の目の前には、アルコールランプの上に置かれたフラスコがあった。
ガラス管が伸び、左に置かれたビーカーの中に、熱せられた触媒が冷えて凝固している。
最後の仕上げた。
コルベールは、ウルキオラから貰ったガソリンの臭いを嗅ぎ、慎重に『錬金』の呪文を唱えた。
臭いを強くイメージし、冷やされたビーカーの中に向かって唱えた。
ぼんっ、と煙をあげ、ビーカーの中の冷やされた液体が茶褐色の液体に変わる。
その臭いを嗅ぐ。
つん、と鼻をつくガソリンの刺激臭が漂う。
コルベールはばたんとドアを開けると、外に飛び出して行った。
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