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SWORD ART ONLINE ―穿つ浸食の双刀―
13:暗闇を払う者
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中を覆うのは神秘的な色の水晶。こちらを覗く瞳は
紅
(
あか
)
。立派に伸びた羽根。間違いない、あれは《クリスタライト・ドラゴン》だ。
「来たぁ!?」
真っ先に声を上げたのはリズベットだった。気圧されるように後退し、様子を伺うリズベットの行動は懸命だ。
「はぁっ!!」
キリトは剣を抜刀し、地に向けて振り回す。それだけで雪の煙が巻き起こり、僕達の姿を隠す。
「なるほど、そういう事かっ??????よし!」
リズベットを抱えて壁を登るキリトを捉え、僕も続くように反対側の壁を駆け上がる。次いで《フレイム・シン》を抜刀。
(だいぶガタが来てる??????帰ったら研磨を依頼するから、もう少しだけ耐えてくれっ??????!!)
「リズっ、掴まってろよっ!!」
「おぉぉっ!!」
キリトと僕は一秒の狂いもなく同時にバク宙をし、クリスタライト・ドラゴンの背に剣を突き立てる。
「ゴォアァァァァァッ!?」
悲鳴を上げ、再び跳躍を開始するクリスタライト・ドラゴン。風圧でミシミシと軋む《フレイム・シン》を見て顔をしかめる。
「出口だっ!!」
微妙に楽しそうな表情を浮かべるキリトに若干の呆れを覚えつつ、先を見据える。後少し――――
「――――あぁぁぁぁぁぁっ!?」
クリスタライト・ドラゴンが反転し、その勢いで剣が背中から抜ける。《フレイム・シン》の美しかった刀身には若干亀裂が走っているため、かなり痛々しく見える。
(??????戻ったら、すぐ研磨するよ)
そう語りかけるが、当然返事はない。求めてもいない。
「キリトーっ、私ねぇーっ、キリトの事ーっ、好きーっ!!」
「何だってっ!?聞こえないよーっ!!」
「何でもなーいっ!!」
隣で繰り広げられるリア充的光景から目を背けるように、もう一度剣に語りかけたのは言うまでもない。
* * * * *
「じゃあ、片手長剣でいいのよね?」
「ああ、頼む」
僕達はあの後結晶を使用してリンダースに帰還し、リズベット武具店まで徒歩で来ていた。戻って直ぐに工房内に招かれ、入手した金属を差し出す。
「いよいよかぁ??????金属入手にこんなにかかるなんて、結構鬼畜だよね、茅場さんも」
流石にそう呟かずにはいられなかった。しかし、この経験は滅多に出来ないだろう。
(??????今度から僕も寝具を常備しておこう)
そう思う。まぁ、どうでもいいのだが。
――――キン、キン。
金属を叩く音が響く。一回。二回。三回。
それぞれに確かな思いを乗せて、懸命に叩く。回数は一桁に止まらず、二桁を越える。
四八回、四九回、五十回――
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