暁 〜小説投稿サイト〜
SWORD ART ONLINE ―穿つ浸食の双刀―
13:暗闇を払う者
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
中を覆うのは神秘的な色の水晶。こちらを覗く瞳は(あか)。立派に伸びた羽根。間違いない、あれは《クリスタライト・ドラゴン》だ。

「来たぁ!?」

真っ先に声を上げたのはリズベットだった。気圧されるように後退し、様子を伺うリズベットの行動は懸命だ。

「はぁっ!!」

キリトは剣を抜刀し、地に向けて振り回す。それだけで雪の煙が巻き起こり、僕達の姿を隠す。

「なるほど、そういう事かっ??????よし!」

リズベットを抱えて壁を登るキリトを捉え、僕も続くように反対側の壁を駆け上がる。次いで《フレイム・シン》を抜刀。

(だいぶガタが来てる??????帰ったら研磨を依頼するから、もう少しだけ耐えてくれっ??????!!)

「リズっ、掴まってろよっ!!」

「おぉぉっ!!」

キリトと僕は一秒の狂いもなく同時にバク宙をし、クリスタライト・ドラゴンの背に剣を突き立てる。

「ゴォアァァァァァッ!?」

悲鳴を上げ、再び跳躍を開始するクリスタライト・ドラゴン。風圧でミシミシと軋む《フレイム・シン》を見て顔をしかめる。

「出口だっ!!」

微妙に楽しそうな表情を浮かべるキリトに若干の呆れを覚えつつ、先を見据える。後少し――――

「――――あぁぁぁぁぁぁっ!?」

クリスタライト・ドラゴンが反転し、その勢いで剣が背中から抜ける。《フレイム・シン》の美しかった刀身には若干亀裂が走っているため、かなり痛々しく見える。

(??????戻ったら、すぐ研磨するよ)

そう語りかけるが、当然返事はない。求めてもいない。

「キリトーっ、私ねぇーっ、キリトの事ーっ、好きーっ!!」

「何だってっ!?聞こえないよーっ!!」

「何でもなーいっ!!」

隣で繰り広げられるリア充的光景から目を背けるように、もう一度剣に語りかけたのは言うまでもない。


* * * * *


「じゃあ、片手長剣でいいのよね?」

「ああ、頼む」

僕達はあの後結晶を使用してリンダースに帰還し、リズベット武具店まで徒歩で来ていた。戻って直ぐに工房内に招かれ、入手した金属を差し出す。

「いよいよかぁ??????金属入手にこんなにかかるなんて、結構鬼畜だよね、茅場さんも」

流石にそう呟かずにはいられなかった。しかし、この経験は滅多に出来ないだろう。

(??????今度から僕も寝具を常備しておこう)

そう思う。まぁ、どうでもいいのだが。

――――キン、キン。

金属を叩く音が響く。一回。二回。三回。

それぞれに確かな思いを乗せて、懸命に叩く。回数は一桁に止まらず、二桁を越える。

四八回、四九回、五十回――
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ