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SWORD ART ONLINE ―穿つ浸食の双刀―
13:暗闇を払う者
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にキリトと同等以上の実力を持つ僕でさえ驚嘆の声を禁じ得ないのだから。
「うわあぁぁぁぁぁぁっ!?」
「あ、落ちた」
四分の一程度を登ったところで、キリトが足を滑らせて一瞬空中でし静止。当然だが直後に高速落下。等速直線運動の練習だろうか。いやいや有り得ない。
「??????も、もう少し助走距離があれば行けたんだよ??????」
「んな訳ねー??????」
必死に言い訳をするキリトにリズベットが冷静なツッコミで対応する。やっぱり気が合うと思ったのは余談だ。
* * * * *
「何かさ、変だよね??????初めて来た場所で、初めて会った人と、いきなり一夜を過ごす事になるなんて」
「そうか?」
キリトが何故か常備していた寝袋に身を包み、瞼を閉じて微睡みに落ちる寸前、キリトとリズベットの声が聞こえる。意識が覚醒してしまった。
(どうせ寝れないし、趣味が悪いけど盗み聞きでもさせてもらおうかな。起こした側にも非があるし)
自己解釈で無理矢理納得し、聞き耳を立てる。残念ながら聞き耳スキルは取っていないので、音量によっては聞き取れないが。
「ねぇキリト、訊いていい?」
「何だよ、改まって」
ゴソゴソ、という音を立ててリズベットが少し身を起こす。正確には身を起こしている気がする。
「何であの時、私を助けたの???????」
ごもっともな質問だ。通常、こんな悪趣味なデスゲームの中で、《自分が死ぬ危険》を侵してまで人を助ける善良な心の持ち主などいない。この世界では自分第一が基本なのだ。
「誰かを見殺しにするくらいなら、一緒に死んだ方がマシだ??????!!」
一つ間を開ける。
「それがリズみたいな女の子なら尚更だ」
今僕の脳内では、ある一つの疑問が渦巻いている。それは別にキリトの優しさの理由でも何でもなく――――
――――「一緒に死んだ方がマシ」って、心中するつもりだったのかよ!?
なる、確実に場違いな物であった。
「??????馬鹿だね、ホント。そんな奴他にいないわよ」
「はは、かもな」
掠れた笑いを漏らすキリトだが、裏ではもっと真剣なのだろう。過去にキリトと僕は、小規模のギルド――名を《月夜の黒猫団》という――を破滅に導き、メンバー全員を殺してしまっている。??????この過去については、おいおい話そう。
《大切な人が死ぬ》事に非常にデリケートになってしまったキリトだからこそ、身を
挺
(
てい
)
して人を助ける何て事が出来たのだろう。
(キリト、君は強い。死の恐怖に怯える僕では、そこまで出来ないよ。嗚呼、なさけないな??????)
ハリンとキリト。
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