第九話
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(・・・全然役に立たねえ・・・)
無事にジュエルシードの思念体である巨大兎を倒し、封印したあと、葵は落ち込んでいた。因みに、デバイスが存在しないために葵の攻撃に非殺傷設定など存在しないが、兎は無事であった。ちょっと体が土埃で黒くなったくらいで、本体に何も影響がなかったのは、嬉しい誤算だと言える。きっとジュエルシードの不思議パワーが何とかしてくれたのだろうと、葵は考えた。これなら、これからの敵にも、容赦しなくて済みそうだ、と。
自分が進化する為に犠牲を厭わない覚悟を決めた彼といえど、好き好んで殺したいわけではないのだ。特に、なのはたちの前で何かを殺すというのは避けたいものであった。
さて、兎も倒した彼らは、結界を解いたあと、即座に撤退した。人が集まってくるのが分かったからである。彼らの姿を見られたら言い訳も出来ないので、コソコソと林から出て、やっと駅前の路地に入った人気のない喫茶店で一息吐いたところであった。因みに、この店は葵の行きつけの一つであり、オーナーに顔を覚えられている。入ってきた葵となのはを見て、何も言わずに葵の特等席に案内し、葵の「いつもの二つ」という一言で厨房へと引っ込んでしまったのだから、どれだけ彼がここに入り浸っているかが分かるだろう。
何せこの店は、彼が『翠屋に勝るとも劣らない』とすら公言するほどのお気に入りであり、『あまりに人が来すぎると俺が入れなくなるから』という理由で、殆ど誰にも教えたことのない秘境的な喫茶店であった。それに、この店に来るお客さんは、いわゆる『通』であるため、あまり大騒ぎする学生達が来るような雰囲気の店でもない。
一応、なのはを含めたいつものメンバーには教えてあるが、駅前は微妙に家から遠い為、彼女も来るのは始めてである。因みに、ユーノはなのはの前で机に寝転がっている。この店は、ペットの随伴も許可されているからだ。勿論、騒げば追い出されるが、ユーノならそんな心配もいらない。
さて、無事にジュエルシードを封印し喜んでいるユーノとなのはを尻目に、葵は落ち込んでいた。一体何に落ち込んでいるのかと言えば、それは自分の『原作知識』が今のところ一切役に立っていないからである。
彼だって、アニメでも映画でも語られていないジュエルシードがあるのは理解している。メタな話だが、1クール13話構成という短い話の中で、21個のジュエルシードの事件を全て表現するのは不可能だ。それゆえ、いくつかのジュエルシードは、回収の現場が描写されていない。
だから葵は、自分の知らない事件があるのは覚悟していた。いくつかは暴走しない状態で発見されたのかも知れないが、その全てがそうだとは虫の良すぎる話だろう。恐らく、管理局員と協力して回収に当たった筈だ。
・・・だが・・・
(しょっぱなか
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