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無欠の刃
下忍編
自来也
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を使うのが怖いと言ったことの方が、自来也には意外だった。

 「何故だ?」

 何と答えようか、一瞬の迷いが、カトナの中に溢れた。
 本当の理由は、カトナのなかに九尾はいないので、使いたくても使えないということなのだが。だが、それを言うということは、即ちカトナの中に九尾がいないことがバレるということなので、どうしようかと内心で悩みつつ、カトナは思いついた言葉を口に出した。

 「…化け物、って、言われたく、ないか、ら」

 嘘は言っていない。が、本当のことも言っていない。
 カトナは別に自分が化け物と呼ばれることは構わない。
 ただ、ナルトが、化物の弟と呼ばれてほしくないのだ。
 自来也は虚を着かれたように目を見開いて、そしてなんともいえない顔で目を細めた。

 「…そうか、そうか」

 その言葉に込められている感情の念は、カトナには分からない深みがあって、悲しいくらいの優しさがあって。慣れない大人の態度に、カトナは何度か瞬きを繰り返した後、どうしたものかと手を振る。

 「九尾の、チャクラ、使わない、なら、教えてほしい、です」

 その言葉に、自来也は少しだけ驚いたように目を見開いて、瞬きしたが、すぐにいつものような飄々とした、感情を見せない笑みを浮かべて、カトナの頭を撫でまわす。

 「よしっ、この自来也に任せておけ!!」

 胸をどんっと叩いた自来也に、カトナは恐る恐るといった調子で手を上げる。

「あと、もう一人、追加、いいですか?」
「ん? まぁ、このわしにかかれば、どんな奴でも素晴らしい忍者にしてみせるが、誰を頼みたいんじゃ?」

 その言葉に、カトナはにこにこと笑みを浮かべつつ、言った。

 「私の弟、です」

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