第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
27.Jury・Night:『Blade Arts』U
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表紙の黙示録を携えた……肥満の長身を車椅子に窮屈そうに押し込めた、無数の蛇の髪を備えた女。
「ひひ、妹さん可愛いねぇ……同志に引きずり込んだら、楽しみだぜぇ」
ニタニタ笑う下半身が長大な触手の塊と成り代わっている矮身痩躯の、『]』の黙示録を携えた雀斑顔の中年男。その二人が並び立つ。
直ぐに分かる。槍騎士程ではないが、この二人もまた『融合』を果たしている。それ程に、深い狂気と瘴気。他の黙示録の持ち主共は気にしていないのか、或いは手を下すまでもないと多寡を括っているのか。ただ、儀式を注視している。
《“蛇の髪”に“触手塊”か……下級とは言え、面倒な》
「どのくらいの面倒さだ?」
《浅井・朝倉連合軍くらいかのう》
呆れたように思念を送ってきた“悪心影”、そして。
《さて、では最後に聞こうかのう。嚆矢よ────勝利の為に、我が『剱冑』を、望むか?》
「………………」
問いは、最後通牒。答えは、致命的。恐らくはあの鎧だけが。あの“第六元魔王”だけが、この状況を打破できる。あの“悪心影”が、アレを勧めるのだから。
ならばこそ、答えは只一つ。対馬嚆矢の存在目的は、只一つだ。先程も、確認した通りに。
「出来るのか? あの魔王、俺もお前も嫌いみたいだけどよ?」
《無論。あの装甲は元々、儂のモノよ。あのまやかしを封じる為に、被せただけじゃからな》
何でもなさげに、“這い寄る混沌”の一面が嘲笑う。虚空よりの眼差しが、殺意と共に嘲弄する。それは、これより死すべき敵に向けてか。或いは────罠に足を踏み入れた、愚かな獲物に向けてか。
背後から、気付かれる事無く。敵にも、味方にも、誰にも。悪心の影とまやかしの魔王はただ、燃え盛る三つの瞳と凍てつく六つの眼差しで嘲笑して。
「……じゃあ、先に断っとく。悪ィな、思惑通りにならなくて」
《《……なんだと?》》
振り向きもせぬまま、まるで見ていたかのような嚆矢の宣言に嘲りを消す。余りに意外だったのか、どちらも目を円く見開いて。
『逃げるな、迷うな。信じろ、科学も魔法も……所詮は人外。生まれ持つモノでもない、生後に与えられるモノでもない。本当の人間の力は……お前が選び取る、“生き方”だ』
思い返した、義父の言葉。それは、『魔剣伝授』の際の言葉であり……また。
「対馬嚆矢は、対馬嚆矢だ。“第六天魔王”にも“第六元魔王”にも、敗けやしねェ
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