Interview11 1000年待った語り部 V
「案外しんどいんだな」
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
エージェント。
この名称を聞けば、ほとんどの人々が真っ先にかのクランスピア社の華々しく凛々しい仕事人を思い出されるだろう。
彼らはクランスピア社の看板であり、市民のアイドルであり、一般人が力及ばない事柄を解決するヒーローである。
ではこれが「分史対策エージェント」であったら。読者諸賢は首を傾げるのではないか。
分史対策エージェントとは、時歪の因子より生じた分史世界を破壊し、我々の正史世界に魂のエネルギーを還元する使命を担った特務エージェントである。
彼らは2000年の太古に、カナンの地の番人にして時空の大精霊クロノスより「骸殻」という特別な鎧と槍を授けられた。そしてその力で、命を削りながら、2000年の永きに渡って陰ながら世界を守ってきた。
これだけ書くと、彼らが選ばれた特別な人間のように感じられるだろう。あるいは、同じ「人間」だと認めがたくなることもあるかもしれない。
しかし、それは大きな誤りだ。
分史対策エージェントたちは、ひとりひとりが違う心を持ち、違う人生を歩んでいた。彼らを一皮むけば、家族に囲まれ、友と遊び、恋人と睦み合い、泣いて笑った、我々と何ら変わらない一個人だった。
断片に過ぎないが、クルスニクの使命に殉じた彼らの人生を、ここにいくつか紹介させていただきたく思う。
L・R・クルスニクテラー
ルドガーはマンションフルーレ302号室に帰宅するなり、自室に直行し、ベッドにダイブした。
(疲れた…よーやくあのプレッシャーから解放された…)
今回の分史破壊任務には、とんでもないVIPが同行した。
リーゼ・マクシア国王ガイアス。
かつてア・ジュールとラ・シュガルという南北二大勢力に割れていたリーゼ・マクシアを平定し、初代統一国王となった覇王だ。
彼はジュードから世界の裏事情を聞き、はるばるルドガーに会いに来た。
“お前が世界の運命を預けるに足る人間か見極めさせてもらう”
(上から目線にも程があるだろ。いや王様なんだから当たり前なんだけど)
“そうでもあるまい。真実を知れば誰もが抱く疑問だ”
ガイアスはルドガーに分史世界へ連れていけ、と要求したので、折よく入った任務に同行してもらった。
事前に「道標」があるらしいと知らされていたので、進入点のカン・バルクに行く前にカラハ・シャールでエルも拾っていった。そして、ルドガー、エル、レイア、ガイアス、イリスで任務に向かった。
ガイアスはまさに「王」だった。威風堂々たる豪傑。後ろから一挙一動を見られているだけで、息が詰まるほどのプレッシャーだった。
それに比べて、と思いながらルドガーは寝返
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ