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レンズ越しのセイレーン
Ready
Ready4-1 ペイト/ブレイクアウト
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薄い。――そうなったら、俺はすっぱり過去の改変を諦める。その先の人生は、全て君と君との子のために使う」

 その言い方は卑怯だ。どんな子が生まれるかによって、ユリウスとノヴァの関係は大きく変わってしまう。
 もしユリウスの望み通りの特別な力の持ち主が生まれたら、ノヴァは我が子を公平に育てられる自信がない。

「ノヴァ。君だけが頼みの綱なんだ。ルドガーにも俺にも等しく愛情を向けてくれた君だからこそ。俺は君に俺の子を――ルドガーを救う子を産んでほしい」

 それでも、やっとユリウスは、何かを求めるという心を取り戻してくれたのだ。
 ノヴァには応えるという選択以外になかった。
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