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101番目の舶ィ語
第三章 魔女喰いの魔女
第十四話。深い霧の中で……
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う都市伝説があるよ」

聞き覚えのある声に振り向くと、そこにはキリカがニッコリと立っていた。

「え、あれ、キリカ?」

「んふふ、モンジ君まるで気づかなかったね、私の事。霧が深いからってい言うよりは、何かを探していたから、に見えたけど?」

「おはよう、キリカ。
随分と朝早くに起きているんだね」

「うん、目が覚めちゃったからね!
せっかくだからちょっとお散歩して来ようと思って家を出て公園に来たらモンジ君の姿があったから声をかけてみたんだよ」

「一人で来たのかい?」

「うん、一人だよ〜」

「こんな霧深い朝の女の子の一人歩きは危ないよ?
危ないから、めっ!、だよ!
次からは誰かと一緒に来るようにね!」

「んふふ、はーい!」

クスクス笑うキリカはいつも通りだった。
その姿を見ていると、本当にこの子や先輩が『ロア喰い』なのか、間違いじゃないのか、と疑ってしまう。
疑いたくない、違ってほしい……とは思いつつ、キリカの事を考える。
俺なりに考えた結果、キリカは……。

「ん?どうしたの、モンジ君?
あっ、ほらここのベンチに座わって!」

キリカにベンチに座らされた俺は、同じベンチの端に真っ赤な蜘蛛がいたのを思い出した。

「そう言った都市伝説があるなら、この蜘蛛は人を食べたりするのかな?」

「さっきのは単なる都市伝説だよ。この子は、ジョロウグモの一種だね。
……まあ、真っ赤なのはかなり珍しいけれど」

「なんだ、詳しいなキリカ?」

「幼稚園時代の私の通称は『虫博士』だからね」

「へえー、キリカは凄いんだね。
俺はカブト虫博士だったよ」

「私の方が広い範囲をキープしてるってわけだ」

「うん、虫博士度ではキリカの勝利だね」

「ふふっ、やった♪」

満面の笑みで笑いながら、キリカはツンツン、と蜘蛛のお尻を突く。
キリカに突かれてビックリした蜘蛛は、一目散に逃げていった。

「あーあー、逃げちゃった。
でも座れるからいいやー。
モンジ君はまだランニングする?」

「いいや、座ったままキリカとお話してみたいって思っていたところさ」

「やった!」

キリカはニコニコと笑いながらベンチに座わった。
無邪気に喜ぶ姿を見ていると______『日常』に戻ってきた気分になる。
……意外と『ロア』関係の話は、俺の精神に堪えていたみたいだな。
ずっとこのまま、この『日常』が続くといいなぁと思いながらも俺は……。

「なあ、キリカ……」

「んー、なーにー?」

「いや、その……」

言わないといけない。はっきりと確認しないと進まない。
そう頭では解っているが、俺の中にあるキリカと過ごした記憶が、感じた感情がそれを阻む。

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