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101番目の舶ィ語
第三章 魔女喰いの魔女
第十四話。深い霧の中で……
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ゃない、こっちの俺でもわりと冷静になって考えられている。
じゃなきゃあ、パニッくてるぜ。

「それに実は何パターンか悩んだりもしたさ。
怒って問いただす。焦って問いただす。怖がりながら問いただす、の三択でな」

「で、結局どれを選んだんだ?」

「どれを選んでも結果は同じなら、普通に問いただしてやろうかなあ、と」

「ははは!面白いな、お前!三択まで用意しておいて結局どれも選ばないのかよ!」

少女はケラケラと笑うと、ニヤリと顔を覗き込んできた。

「うん、素質があるのかもしれないな、お前さんにも」

「素質?」

「ああ。私が探していた男のロアなのかもしれないな、お前さん」

少女の口から出たロアと言う言葉に、俺は顔色を変えて少女に問いかけた。

「お前は……一体」

一体誰なんだ!
そう言おうとした俺の顔を少女は両手で押さえて、口づけ(・・)をしてきた。
唇と唇が触れ合う感触がし、俺の体の体温が急激に上昇していく。
それと同時に火傷しそうになるくらい、熱くなった血液が、体の中央に集まっていく。
ああ、なる。またなってしまった。
ヒステリアモード、に……。

「へえ、やっぱりな」

俺の顔を覗き込んでいた少女はそう声を上げると俺からバッと距離を取った。

「お前さん、死亡率が下がったぜ!
今やほぼ0になりやがった」

「……突然、キスをするなんて随分と大体なんだね、君は」

「口調も変わるのか」

「君は欧米出身かな?
キスは向こうでは挨拶だけど日本だと恋人とかとするものなんだよ?
今のキスは果たしてどっちかな?
俺としては君みたいな可愛い女の子が相手なら大歓迎だけどね!」

ウィンクをしながらそう目の前の少女に告げると少女はケラケラと楽しそうに笑った。

「ははははは!面白いな、お前!
初めて会った奴にいきなりキスされたのに、怒るどころか逆に口説くのかよ!」

「女性は愛でるものだからね!」

「ははははは!面白い!なるほどな!これはいい。
私みたいな『魔女』を面白がらせられる存在か……私達の仲間に相応しい」

少女が呟いた言葉に、聞き間違いではないかと思い反応してしまう。

「『魔女』?」

「ああ、そう言えば自己紹介がまだだったな。
私は『予兆の魔女・アリシエル』。通称アリサだ!
よろしくな、『不可能を可能にする男(エネイブル)』の主人公をその身に宿す『101番目(ハンドレッドワン)の百物語』の主人公、一文字疾風を名乗るお前さん!」

「なっ……??」

コイツ、知っているのか??
俺が一文字疾風ではない事を。
いや、驚く所はそこじゃない。
コイツが『魔女』なら……。

「まさか……君が『ロア喰い』か?
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