第3部 始祖の祈祷書
第7章 竜の羽衣
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キオラはコクピットに入った。
操縦桿を握り、外に顔を出した。
「タバサ」
タバサは自分の名前をウルキオラに呼ばれたので、少し驚いた。
「プロペラを回してくれ」
「プロペラ?」
「風車みたいなやつだ」
タバサはそれを見ると、こくんと頷いて、杖を振った。
すると、ゆっくりとプロペラが回り出す。
それを見たウルキオラは、電路開閉機をonにした。
ゼロ戦のプロペラが激しく回り出す。
そして、ゆっくりと前進していく。
「お、おお!動いてる!動いてる!」
デルフは動くゼロ戦を見て、大いに興奮していた。
暫くすると、ゼロ戦の速度は相当な速さになっていた。
ウルキオラは操縦桿を引いた。
すると、機体が浮く。
脚を格納し、上空に向かって飛び立った。
上空をクルクル回るゼロ戦に、ギーシュ、キュルケ、タバサは驚きを隠せなかった。
「ほ、ほんとに飛んだわ…」
「あ、ありえない…」
「……すごい」
タバサは杖で風竜の頭を軽く叩く。
すると、風竜が飛び上がり、ゼロ戦の後を追いかけるようにして、魔法学院へと飛び立った。
タルブの村の草原は、歓声で包まれていた。
まさか、ほんとに飛ぶとは思わなかったこともあるが、なにより見慣れたそれが空を飛び立った姿に興奮を隠せなかった。
シエスタの父の目からは涙がおちていた。
「お父さん?」
そんな父の姿にシエスタは心配になった。
「おじいさんの言っていたことは…本当だったのか…」
シエスタは笑みを浮かべ、徐々に小さくなっていくゼロ戦を眺めた。
「そうだね…」
シエスタの周りではわいわいと兄弟姉妹が騒いでいる。
村人の歓声が、草原に咲く美しい花を揺らしていた。
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