第3部 始祖の祈祷書
第7章 竜の羽衣
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木武雄、異界ニ眠ル」
墓碑銘を指でなぞりながら言った。
見慣れた、現世の文字。
日本語であった。
「「「「はい?」」」」
すらすらとウルキオラが読み上げたので、皆目を丸くした。
そして、タバサはこの前ウルキオラに返した本の文字と似ていたことを思い出した。
ウルキオラはシエスタを見つめた。
シエスタは熱っぽく見つめられたので、またまた頬を染めた。
「い、いやですわ……、そんな目で見られたら……」
黒い髪、黒い瞳……。
何処と無く、懐かしい雰囲気。
そんな風に感じた理由に気づき、なるほど、と思った。
「シエスタ、その髪と目、曽祖父似だと言われただろう?」
ウルキオラがそう言うと、シエスタは驚いた声をあげた。
「は、はい!どうしてそれを?」
再び寺院に戻り、ウルキオラは『竜の羽衣』に触れてみた。
すると左手の甲のルーンが光りだした。
ルーンが光ると、中の構造、操縦法が、ウルキオラの頭の中に鮮明なシステムとして流れ込んでくる。
そして、燃料タンクを開けた。
3分の1程度の燃料が入っていた。
原型も留め、燃料も多少だがある。
ウルキオラは何故飛ばなかったのかと、疑問に思った。
しかし、それ以上にこれに乗っていた人物は、どうやってこのハルケギニアに迷い込んでしまったのだろう?
その手がかりが欲しい。
なんでもいい。
そこに生家から帰っていたシエスタが戻ってきた。
「ふわ、予定より、二週間も早く帰ってきてしまったから、皆に驚かれました」
シエスタはいそいそと手に持った品物を、ウルキオラに渡した。
それは、古ぼけたゴーグルだった。
海軍少尉だったシエスタの曽祖父がつけていたのだろう。
ウルキオラとは異なった次元から来たものの、同じ世界の住人。
ウルキオラと同じ異邦人。
「ひいおじいちゃんの形見、これだけだそうです。日記も、何も残さなかったみたいで。ただ、父が言ってたんですけど、遺言を残したそうです」
「遺言?」
「そうです。なんでも、あの墓石の銘を読める者が現れたら、その者に『竜の羽衣』を渡すようにって」
「すると、俺にその権利があるというわけか」
「そうですね。そのことを話したら、お渡ししてもいいって言ってました。管理も面倒だし……、大きいし、拝んでいる人もいますけど、今じゃ村のお荷物だそうです」
ウルキオラは言った。
「ありがたく、貰うとしよう」
「それで、その人物にこう告げて欲しいと言ったそうです」
「なんだ?」
「なんとしてでも『竜の羽衣』を陛下にお返しして欲しい、だそうです。陛下ってどこの陛下でしょう?ひ
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