第百九十話 龍王山の戦いその十二
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「だからな」
「それで、ですな」
「うむ、毛利家の人材を全て手に入れてじゃ」
そうしてだった。
「武田も上杉も北条もじゃ」
「どの家の人材も」
「天下の為に」
「うむ、織田家に組み入れる」
これが信長の考えだった、彼は天下を治める為に優れた人材を片っ端から織田家に入れているのだ。それでなのだ。
「よいな」
「はい、それでは」
「今より」
「高松城を攻め」
「そのうえで」
「そうじゃ、毛利家との戦も終わらせる」
こう言ってだった、毛利元就との戦を終えた信長はその夜は兵達に飯を食わせ休ませてだ。そうしてであった。
翌朝だ、兵達にこう言った。
「では今よりじゃ」
「はい、高松城にですな」
「進みますな」
「そうじゃ」
まさにだ、そうするというのだ。
「そのうえで攻めるぞ」
「畏まりました、では」
「武勲を」
「ははは、急くでない」
笑ってだ、信長は血気に逸る足軽達を窘めた。
「御主達にはまだまだその機会がある」
「手柄を立てる機会が」
「それが」
「そうじゃ、だからな」
それでだというのだ。
「急くな、よいな」
「はい、わかりました」
「それでは」
足軽達も頷く、そうしてだった。
織田軍は高松城に向かった、その報は元就にも届いた。元就は自軍を備中の西の方にまで移していた。だが。
その報を聞いてだ、彼は言った。
「よし、では織田が高松城を囲めばじゃ」
「その時にですか」
「我等は」
「うむ、その敵をな」
即ち織田軍をというのだ。
「攻める」
「はい、それでは」
「我等は」
「うむ、それでじゃ」
だからだというのだ。
「あらためて東に戻るぞ」
「父上、それでは」
隆元もここで言うのだった。
「ここまで退いたことも」
「うむ、それもな」
「父上のお考えでしたか」
「あえて高松城を囲ませてな」
そうしてというのだ。
「それからだ」
「戦ですな」
「あらためて」
「そうじゃ」
まさにそうなるというのだ。
「だからよいな」
「はい、では」
「家の為に」
息子達も頷きだ、そのうえで。
次の戦に向かうのだった、織田家と毛利家の戦はいよいよ最後の局面を迎え決着の時を迎えようとしていた。
第百九十話 完
2014・7・18
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