第百九十話 龍王山の戦いその七
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彼は自ら槍を手にし馬に乗ってだった、自らだった。
織田軍もっと言えば宇喜多の軍勢の陣地に突っ込む、それを見てだった。
毛利の軍勢もいきり立ち突き進む、そして鉄砲が放たれ次の一撃が来るその前にだった、実際に彼等は。
織田軍に向かって突っ込む、これには忠家も驚いて甥に言った。
「これはまずいぞ」
「はい、それでは」
宇喜多も叔父の言葉に頷きだ、そしてだった。
すぐにだ、弓矢ではなく。
長槍を前に出させた、そしてその長槍で毛利の軍勢の突進を防ごうとする。だが元就はそれでも軍勢を突っ込ませてだ、刀を抜き戦に入った。
その中でだ、元就は言うのだった。
「よいか、このままじゃ」
「はい、ですな」
「このまま」
「攻めてじゃ」
そして、というのだ。
「我等はな」
「このままですな」
「勢いに乗り」
「攻めて攻めていく」
これが元就の今の考えだった。
「ではよいな」
「はい、では」
「このまま」
「攻める」
こう言ってだ、そしてだった。
毛利の軍勢は至近で戦を挑み間合いを取ろうとする織田の軍勢と戦っていた、宇喜多の軍勢は必死に戦い。
彼等が疲れたと見てだ、それでだった。
信長はすぐにだ、竹中に言った。
「頃合じゃな」
「はい、それでは」
「宇喜多家の軍勢を下がらせる」
こう伝令の者に言った。
「第二陣は牛助じゃ」
「では牛助殿の軍勢にも」
「うむ、早馬を送る」
竹中にも答える。
「そして順番にな」
「入れ替えてですな」
「手筈通り戦わせる、よいな」
「はい、それでは」
竹中も応えてだ、そしてだった。
実際に宇喜多の軍勢は入れ替わった、等は後ろに下がる。宇喜多は下がりながらそのうえでこう言うのだった。
「さて、休むか」
「そしてですな」
「また順番が来ればですな」
「戦うとしようぞ」
信長の考えに従いというのだ。
「ではな」
「はい、それでは」
「ここは」
「織田家の戦は違う」
これまで彼が知っていた戦とはというのだ。
「ただ武具が揃っているだけではないな」
「そうですな、全く違います」
「これまでとは」
「斬り合う戦ではない」
織田家の戦はというのだ。
「間合いを取ってじゃ」
「そうして、ですな」
「こちらは傷を負わずに」
「そうして勝つ戦ですな」
「織田の兵は弱いと聞く」
元就はこのことも言った。
「もっとも毛利の兵も強いとまでは言えぬがな」
「織田に北条、それに我等は」
ここで元春が言う、そのことを。
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