マブラヴ
0853話
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いうのは混沌精霊である俺にとっては親しみの強い色だ。それが相手にとって決定的なものとなる。
黒を経由して侵入した俺の念動力が、相手へと到達し……その瞬間、俺は思わず念動力を弱めた。
手加減をしようとした訳では無い。ただ、俺の念動力が侵入した相手が予想以上に弱かったからだ。
例えるのなら、紙コップにプールの水全てを注ごうとしているような、そんな感触。
もしここで俺が念動力を弱めていなければ、恐らくこの相手は良くて植物状態、最悪頭部破裂とかで死んでいただろう。
ともあれ咄嗟に手加減はしたが、人間以上である俺の存在を相手が受け入れる事が出来る筈がなく……プツリと向こうの意識が遮断するのが念動力越しに感じ取れ、同時に精神的な繋がりも切れる。
咄嗟に念動力を弱めたのだから、さすがに死にはしていないのは間違いない。恐らくは気絶したのだろう。
瞬間、隣の部屋からドサ、という何かが床へと崩れ落ちる音が聞こえる。
だが、それは混沌精霊であり五感が通常の人間とは比べものにならない程に鋭い俺だから気がつけた事であり、当然俺の前にいる夕呼は全くそれに気が付いていない。
いや、何らかの手段でこっちのやり取りを隣に聞かせたりしている以上は、恐らくそう遠くない内に気がつくんだろうが。
ともあれ、まさかこの世界にも超能力者がいるというのは色々な意味でおどろきだったな。
そんな風に考えていると、目に浮かべた不信の色を隠そうとしても隠しきれていない様子で夕呼が俺へと向かって口を開く。
「……どうしたのかしら? この世界に対する侵略行為の意思の有無を聞いてるんだけど、答えて貰えないの?」
「そうだな、それに答えてもいいが……それよりも、いいのか?」
「何が、かしら?」
「この会議室の隣の部屋にいる誰かさんは、既に気を失っているぞ?」
その一言が放たれた効果は絶大だった。
夕呼の表情が見て分かる程にさっと強張ったのだ。
「……霞に何をしたの?」
「それは俺の台詞だと思うがな。人の頭の中を読む、か。確かに確実に相手の考えている事を知りたいのならそれも良かったんだろうが、下手を打ったな。これで俺の国連軍、ひいては日本に対する感情はある意味で決定的なものになった」
自分でも理解出来る程の冷たい声と、視線。
一瞬だけ顔色を変えた夕呼だったが、それでも退かずに言葉を続けたのは立派だと言うべきだろう。
それなりの地位にいる人物としては、ある意味当然かもしれないが。
「……」
数秒だけ沈黙し、やがて考えが纏まったのか口を開く。
「今回の件はあたしが独断でやった事よ。国連も日本も関係ない」
「さて、どうだろうな? それを信じられるかと言えば正直微妙だ。下の者がやった事の責任は上の者が取る。それはある意
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