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とある六位の火竜<サラマンダー>
事件のはじまり
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女子をジャッジメントの男子生徒が助け起こす様子が目に入る。

「きゃあっ!」
「……!大丈夫ですか!?」
「すみません。足を……」
「急いで避難を……」

女子生徒に肩を貸し、避難しようとするジャッジメントの生徒。その足元の棚に不自然なウサギのぬいぐるみがあることに蓮は気づいた。思い出される初春の言葉。

『最初はゴミ箱の空き缶とかだったのが最近では人形や子供用の鞄みたいな警戒心を削ぐものにアルミを仕込んだりしていて……』
「っつ!!まさか!!」

蓮が気づくのと同時にウサギのぬいぐるみが自らの中心に引き込まれるかのように収縮していく。ジャッジメントの生徒も気づいたようだがあの距離にさらにけが人を連れていては逃げきれない。そこまで思考したところで蓮の体は勝手に動き出していた。

「伏せろ!!!」

とっさに足の裏からの炎のブーストで加速。かろうじて爆発寸前で2人と爆弾の間に入り込むことに成功する。その瞬間、爆弾が爆発した。

「はあああああああああ!!!!」

爆発と同時に演算を開始、能力を使い爆炎を操り、誰もいない左右にそらす。蓮だけなら炎には耐性があるため必要ないが後ろには2人の人がいるためそらすしかない。さらに、爆風に飛ばされて後ろの2人をかばえなくならないように後ろに気を付けながら風と同じ威力のブーストで体を固定。後ろの2人はジャッジメントの人が一般生徒に覆いかぶさってかばっているので大丈夫だろう。そこから飛んでくるがれきを炎で迎撃しようとしてついに間に合わなくなった。

「つっっ!!!!」

身体中に飛んでくる大小様々な棚や壁、ガラスの破片。そのどれもが後ろを守るために回避することのできない蓮の体に傷を負わせていく。そして一際大きなガラスの破片が蓮の脇腹に突き刺さり、演算に支障が出る。当然能力は解除され、蓮は爆風とがれきの衝撃で壁まで吹き飛ばされ、背中を打ち付けることとなる。その体の至る所が傷つき、脇腹からはおびただしい量の血が流れ出ていた。

(やば……はやく傷を火傷させてでも止血を……)

朦朧とする意識の中、そんなことを考えるも能力の使用に集中できず何もできない。体もまったく動かない蓮のもとにかばった2人ともう1人のジャッジメントが駆け寄ってくる。必死に呼びかけてくる彼らの声をどこか遠くに聞こえているような感覚でききつつ、蓮は呟く。

「ぶ……じみたいだな……よか……った……」

能力が切れ、吹き飛ばされたのが爆発の最後だったからだろう。見たところ一切の怪我のない2人に安堵しつつ蓮の意識は闇に落ちていった。


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