25:後悔
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ユミルの三人だけだ。だが、ユミルは立っているというより、地に突き立てた武器に寄りかかってなんとか地に足を立てられているみたいで、カウントしていいかはかなり怪しいほどの消耗具合だ。その証拠に、息も絶え絶えに小さい肩が上下しているのが見て分かるが……その伏せた顔は前髪と被ったフードで隠され、その顔色が伺えなかった。
ユミルは今朝の小川であった事があっても、黙って俺達のパーティに同行してくれたのだが……最初に俺達が出会った頃のように、首に据え付けてある白いフードを深く被っていた。装備こそアスナ達が作った防具一式を纏ったままでいてくれたが……以前のボロフードよりも丈が短く、深く被っても瞼までしか隠せないフードから覗く顔は……氷のように冷たく固められた、暗い表情だった。
口も徹底した無口に戻ってしまい……シリカが隣でずっと励ましたり話題を振っても、無視され続け肩を落とすシリカを見かねたリズベットとハーラインが流石にやや憤慨しながら詰め寄っても、デイドの懲りない挑発にも一言も介さず……
ユミルは、俺と小川での会話を最後に、一言も声を発することはなかった。
ユミルは淡々とパーティ員としての責をこなし、さっきまでの大群の襲撃では俺やアスナに迫る数の敵を撃破していた。その鬼のような戦い方は、まるで……昨夜の後悔の念を、モンスター共に八つ当たりしているかのようだった。
「まさか、この階層で……こんなボスモンスター並みの消耗戦にあうなんて、思ってもみなかったよ……」
「あたしも……流石に、堪えたわ……。ねぇ、どこかで一度休みましょうよ」
「ええっと……ちょっと待って」
アスナがリズベットの隣に腰を下ろし、互いに寄り添いながらアスナがマップデータをあれこれと見ている。
「あ、良かった……少し戻った道の近くに安全地帯があるよ。だけど、それだと村に戻る時間が……」
今はもうすでに夜に入りかけている。予定通りならばあと一息で村に着いているであろう頃合だったが……現在位置は今日の探索分のちょうど最果ての位置だ。村からはかなり遠い。転移結晶はトラップの持続効果で、次にいつ使えようになるか分からない。この効力はヘタをすれば一日以上、広範囲のまま持続する事もある。つまり……今から歩いても、戻れるのは間違いなく深夜の頃になるだろう。
「キリト君、どうする?」
アスナの問いに俺は全員を見渡す。
言うまでも無く、肩で息をしていない人物は皆無。今は全員がポーションを飲んではいるが、さっきまでHPが注意域にまで落ち込んでいた者が4名もいる。その中でもシリカ、ユミル、ハーラインはそれぞれの理由から四割にまで削られていた。村に戻るのが遅くなるのはいいにもしても、このままでは帰り道が安全だとは到底言い難い。HPよりも精神
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