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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十話 帝都攻略
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のは妻だろう。跡継ぎを生みたい、そう願っていたはずだ。
「ヴァレンシュタインは有能で、野心が無く信頼出来る男だった。その所為かな、こんな息子が居たらと思っていたのだが何時の間にか息子のように思っていたようだ」
「そうか、……で、どうであった、息子を持つ父親というものは?」
「良いものだ、楽しかったな」
ブラウンシュバイク公は本当に楽しそうな顔をした。
「無茶ばかりするから叱り付けたいが結果を出すから注意するくらいしか出来ん。それに人前で手放しで誉める事も出来ん、顔が綻ぶのも抑えねばならん。何とももどかしい事だ」
「そうか、もどかしいか」
「うむ、それに余りに褒めては娘が妬くからな、その辺りも考えなければ……」
「なるほどな、それは面倒だ」
二人で声を揃えて笑った。一口飲む、うむ、冷えてきた。心地良い冷たさだ。そろそろだな、生ハムを口に入れた。冷えたシンケンヘーガーが良く合う。
「アレが出来の良い息子ならフレーゲルは出来の悪い息子だな」
「息子が二人か、少々妬けてきたぞ」
「そうか、妬けてきたか」
「うむ、妬けてきた」
また二人で笑った。妙な気分だ、公と息子の事で話す事になるとは。こんな日が来るとは想像も出来なかったな。
「リッテンハイム侯、子供というのは娘も息子も、出来が良いのも悪いのも、少しも変わらん」
「……」
「なんとも愛おしく、心配で、悩みの種だ。子供の数だけ悩みの種が出来る、そういうものだ」
「なるほどな。……それでも私は公が羨ましいぞ」
「そうか、羨ましいか」
「ああ、羨ましい」
また二人で声を上げて笑った。羨ましいぞ、ブラウンシュバイク公。公は息子は持てなくとも息子と思える男を持つ事が出来たのだからな……。
帝国暦 488年 7月 20日 オーディン ヴァレンシュタイン艦隊旗艦 スクルド アドルフ・ラムザウアー
「シュターデン提督より報告! 哨戒線の構築が完了! これより哨戒任務を実施するとの事です!」
俺が声を上げるとヴァレンシュタイン提督が微かに頷いた。予定通り、そんなところかな。ホントクールだぜ、ウチの提督は。俺達帝都オーディンを攻略中なんだぜ、もうちょっと興奮しても良いじゃん。
まあ今の所攻略作戦は順調だ。スクリーンには宇宙港を制圧するアイゼナッハ艦隊、アーベントロート艦隊、クルーゼンシュテルン艦隊の様子が映っている。画面が薄暗いのは未だ時間が早い所為だろう。オーディンではまだ寝ている人間も多い筈だ。寝耳に水、だろうな。
もうオーディンから逃げ出す事は出来ない、自家用宇宙船で逃げ出してもシュターデン艦隊が外を固めている。取り逃がすことは無い。他にもスクリーンには新無憂宮、リヒテンラーデ公爵家、マリーンドルフ伯爵家、グリューネワルト伯
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