Memo1 ヴァイオレット・ハニー
「腐らせる気はないから――今は」
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ーゼはつい後じさった。
ミュゼがイリスから離れようとさらに浮いて下がったので、両者の距離は絶望的なまでに開いた。
「イリスたちの時代は『クラン』という単位で集団を表していたの」
イリスは肩にかかった銀髪を払いながら答えた。
「あの次元刀の姿は、クラン=セミラミスの女主人、ミュゼ=セミラミスさまのご尊顔。クラン=スピアとも比較的良好な関係のクランだったわ。ミラさまなんか、ミュゼさまの美貌に憧れて、少しでも近づこうとなさったくらい。ミュゼさまに出会ってから、実際、ミラさまは断然女らしくなられたわ。――懐かしいこと」
そこで図ったようにルドガーのGHSが鳴った。ルドガーは電話に出た。
『分史対策室です。その付近で、ユリウス前室長と思しきエージェントが分史世界に進入した反応が見られました』
「ユリウスが――分かった。ありがとな、ヴェル」
ルドガーは筐体を畳まず、今回進入予定の座標と偏差をディスプレイに呼び出した。
「急で悪いけど、ユリウスの手がかりが入った。すぐ分史世界に入りたい。みんな、準備いいか?」
「とっくにできてるっ」
「ナァ〜ッ」
「大丈夫です」
「私も付いて行かせてもらおうかしら。分史世界、興味があるわ」
「じゃあ――行くぞ」
ルドガーはディスプレイの座標と偏差をイメージしながら世界を跨ぐ力を開放する。
引きずり込まれるように、ルドガーらは別世界へ落ちて行った。
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