異なる物語との休日〜クロスクエスト〜
休日のA
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「もともとはお兄様が遊びで創られた場所だったんです」
着物姿が不思議と似合う、《白亜宮》の王妃――――グリーヴィネスシャドウに連れられて、清文、琥珀、キリト、ミヤビ、そしてバイト従業員だというシュウの五人は、旅館《白亜宮》の長い渡り廊下を歩いていた。両脇は吹き抜けになっていて、大きなガラスが嵌っており、外の様子がよく見える。やけに細かい装丁が施された日本庭園だった。
「『暇つぶしに旅館でも作ろうか』、と言われて、確か三つほど隣の次元に創っていらっしゃったと思います。」
「暇つぶしで旅館周辺の空間丸々一個作るとか何考えてんだアイツ」
ドヤァと笑う少年神の顔が目に浮かび、セモンは思わず頭を抱えた。本当に何考えてんだ。普通暇つぶしで創るもんじゃないぞ旅館って。
「そのまま放置になっていて、時折ダークが庭園を整理しに来ていたからそれだけは綺麗な状態で」
「そのダークって人がこの庭園全部つくったのか!?」
思わず目をむき、異様に造りこまれた日本庭園を凝視する。松や桜、もみじと言った四季折々の木々が立ち並び、池や岩、橋などが設置されている。いつ、どの季節の時に来ても十分な美しさを感じさせるだろう庭園は、現在は雪で覆われて真っ白い輝きを放っている。
これをたった一人の存在が作り上げてしまったというのか。
「……あの大喰い神では、無?」
ミヤビがグリヴィネに向かって問う。すると彼女は不思議そうな顔をして、
「……? いえ、私の弟は確かにたくさん食べますけど、大食い、というほどじゃないと思います。きっと別の方ですね。弟の人間としての名前は《天宮皇影》といいます。どこかで見かけたら声をかけてあげて下さいね。多分、セモンさんのお友達の方と同じ顔をしてるとおもいます」
「ああ……アイツか……」
その言葉で、蘇る記憶があった。
あれは一年と少し前の《白亜宮》騒動、その最終版でのことだ。『神話剣の世界』に遠征して来ていた《白亜宮》メンバー全員が集合した時に、白髪の少女と、金髪少女・銀髪少年のコンビ(合計でトリオ)を連れた、ハザードによく似た黒髪の青年がいたのを思い出す。そう言えば《ダーク》と呼ばれていたような気がする。
「本名は《グリーヴィネスダーク・イクス・アギオンス・レギオンナイト》って言うんです。この間叙勲しました。姉としていうのも何ですけど、とってもよくできる子だと思います。お兄様に迷惑もかけないですしね」
「ふぅん……」
何というか、彼らに散々迷惑をかけられた身としては、その言葉に素直に頷けないところがあるが。
「なぁ、セモンの友達って、どんな奴なんだ?」
ハザードに会っ
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