空白期 中学編 02 「朝からでも賑やか」
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
早めに家を出たこともあって、俺達はほとんど人に会うことなく学校の校門付近まで到着した。小学校にはやてが復学してからというもの、俺との関係を聞いてくる連中も居たこともあって、早めに出て正解だったかもしれない。顔見知りに会っていたなら、ディアーチェがはやてに間違われ、そっくりさんということで騒がれ、俺とどういう関係なのかという質問攻めが始まっていただろうから。
「雰囲気からして、まだ誰も来ていないように思えるな」
「そうだな。でもまあ、今日に関してはそのほうがいいだろ。お前は間違いなくこれから大変になるだろうから」
他人事のように言ってくれるな、と視線を向けられるが、俺とディアーチェは別クラスだ。庇ったりしようにも簡単にはできないし、むしろそんなことをしたほうがややこしくなる可能性が高い。クラスを別にしてくれた教員には感謝するべきだろう。
「お前なら大丈夫だとは思うが……ま、頑張れ」
「ふん、頑張るも何も我は我らしく過ごすだけだ」
「おぉ、さすが王さま」
「貴様にその名で呼ぶのを許した覚えはない!」
そう言ってディアーチェは、ぷいっと顔を背けてしまった。前から思ってはいたが、どうして俺には許可が出ないのだろうか。俺よりも親しくない知り合いなんかは普通に呼ばせているのに。
「なあ、何で俺は王さまって呼んだらダメなんだ?」
「そんなことダメなものはダメだからに決まっておる」
「どうしてもか?」
「……どうしても呼びたいのか?」
ダメと言ったのにこうして折れる素振りを見せるあたり、ディアーチェは身内に甘い。まあ良いところなのだが……誰かに騙されやしないか心配になる部分でもある。人を見る目はあるだろうし、頭も良いから心配するだけ無駄なんだろうけど。
「そうだなぁ……そこまで呼びたいかって言われるとそうでもない」
「貴様……」
「怒るなって。前から疑問に思ってたんだよ。何で王さまって呼んだら呼ぶなって言われるのか」
「そんなの……貴様にはきちんと名前で呼んでほしいからに決まっておるではないか」
「なあ、後半が全く聞こえなかったんだが?」
「少しは察したらどうなのだ。我のことを王さまと呼ぶ輩は、得てして我をからかったり、困らせる者ばかりぞ!」
シュテル、レヴィ……はやて。うん、確かにディアーチェをからかったり、困らせる奴ばかりだな。それに呼ぶなと言ったところで聞きそうにない。
「それに……貴様は人を愛称で呼ぶような人間ではないであろうが。貴様に呼ばれるのは恥ずかしいのだ」
「なるほど……シュテルは前に『シュテるんと呼んでも構いませんよ』ってドヤ顔で言ってきたけどな。まあディアーチェが正常なんだろうけど」
「当然だ。そもそも、あやつと比べるな」
「はは、それもそう……」
不意
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ