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青い春を生きる君たちへ
第15話 破綻
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てその肩を抱いた。高田のほのかな体温が、寒さの中では殊更に暖かく感じられた。


「……本当、無茶な事をして。ヤクザの事務所に乗り込むなんて、二度と勘弁してね」


呆れたように言った高田に、小倉は少し、反発心を覚えた。俺だって、好きであんな所行った訳じゃない。あいつが、あのクソ野郎が行けと言わなけりゃ……それに高田だって十分、無茶をしてるじゃないか。


「お前に無茶とか、言われたくねぇな……一体その銃とナイフ、どこで手に入れてきたんだよ?さっきは一体何人殺したんだ?タダで済むとは思えねえけどな……」
「大丈夫よ。私の心配はしなくて良いわ。これらの武器は支給品だし、あの程度の活劇も、まぁ想定内だから。あなたを助ける為と言えば、十分許されるわ」


涼しい顔で言う高田に、小倉は恐ろしさを覚えた。支給品?武器を支給されてるという事は、こいつ何かの組織の一員なのか?あの程度の活劇?あれだけの人間を殺しておいて、あの程度、だなんて、一体何様のつもりなのか。それとも、あれだけの殺人は当たり前な、そんな世界に生きてるとでも言うのか?その可能性は高いだろう。高田の殺しは、やけに手慣れていた。しかし、そこまで人の命を軽視する連中が何故自分を助けるのだろう。


「あんだけの人を殺してまで、俺を助ける価値なんて……」
「あるのよ。田中くんの居場所を知ってるとしたら、あなただけだから」


小倉はぎょっとした。田中?今、高田は田中と言ったか?俺と田中の可能性の関係がバレてる?高田も、田中を追ってるというのか?……いや、高田が、というのはおかしいだろう。厳密には、高田が属している組織が、田中を追っているのだ。


「高田……お前………」
「ダメよ、離れちゃ。まだ、寒いでしょ」


戦慄して、高田から身を離そうとする小倉を、高田は更に強く引き止めた。小さく華奢な体を押し当てて、冷え切った小倉の体を温めようとする。そしてそれ以上、高田は何も言わなかった。小倉は、高田の温もりのありがたさが身にしみつつ、この、無表情を保っている美しい少女の不可解さに、胸のざわつきを抑えられなかった。


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