第2章 闇艦娘、響
第06話
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ていた。
『そうぼやくな、冬海提督よ』
「海提様!」
提督の頭の中で声が響く。
そして提督はバッと立ち上がり、誰もいない部屋の中でひとり最敬礼をする。
『さすがだな、冬海提督。響・黒はすっかりお前の虜ではないか』
「ハッ、お褒めにあずかり光栄であります」
提督は頭を下げたまま、はっきりとした大きな声できちんと答える。
頭に直接話しかけてくる海提に対して、提督はまるで目の前に海提がいるかのように振舞う。
『数えきれぬ闇艦娘どもを手玉にとってきたお前にとっては、駆逐娘を手なずけることなぞ造作もないであろう』
「そのようなことは……わたくしめはいつだって本気でございます。どの艦種の娘であろうと、闇艦娘に対しては、気を抜けるような隙は全くもってございません。もしわたくしめに一部でも隙がありましたら、瞬時に絶命していることでしょう」
『隙あらば闇艦娘にとり殺されるか? だが、それほどまでに危険な性行為を、お前は今まで一度たりとも仕損じたことはないであろう? 失敗は即消滅。それが闇艦娘を抱くということよな』
「おっしゃる通りでございます。今ここに私が存在していることこそ、闇艦娘との性行為に成功し続けていることの証。そしてこれからも、失敗することはありえませぬ」
『頼もしいことだな、冬海提督よ。闇艦娘どもに対し、お前が本気でぶつかるからこそ、闇艦娘どもも本気でぶつかってくる。お前はいい仕事をしてくれる。これからも頼むぞ。闇艦娘どもの育成はお前に一任しておるでな』
「心得ております、海提様」
提督の頭から海提の気配が消えた。
頭を下げ続けていた提督は、はぁッと溜息をついてその場にあぐらをかく。
「……ったくよぉ、たまったもんじゃねぇぜ。俺はいつだってあいつらに対して……闇艦娘どもに対してマジだっつぅんだ。だけど、まぁ、マジで好きんなってもなぁ……どうせ結ばれねぇ運命……どんなに好きになろうが、愛そうが……チッ、マジでしんどい任務だぜ、バカ野郎がよぉ……」
提督は苦々しく唾を吐いた。
「提督、入ってもいいかな?」
扉の向こう側から響・黒の声が聞こえた。
「ああ、勝手に入んなぁ」
響・黒は静かに扉を開け、部屋の中へと入ってくる。
真っ黒い衣装に身を包んだ響・黒は、提督に抱かれる前に比べて数段も色っぽく、妖しく、頼もしく見えた。
「お前が内在している闇を感じるに、今のレベルは3ってとこか? なら大丈夫だなぁ。闇を知らねぇ普通の艦娘なんぞ相手になんねぇぜ」
響・黒は不思議そうに提督を見つめる。
「おつかいって、何をしたらいいのかな?」
「なぁに、ちょいと地上の鎮守府に行ってよぉ、あいさつしてきて欲しいんだわ」
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