第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
27.Jury・Night:『Graaki-Apocalypse』
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《・》次第なのだからな。さて、此方の準備は万端だ……そちらも良いかな?》
身の丈二メートル半は有りそうな巨体。その圧倒的な存在感、禍々しさ。同じサイズの筈の駆動鎧が、縮んで見える程に。もしも先にグラーキを見て、心を凍らせていなければ……今頃、この怪物により狂っていたかもしれない。
だが、だからなんだ。対馬嚆矢の行動目的は、ただ一つ。それは既に、再認識した。
「悪ィけど、眼中ねェよ」
解剖台の上に寝かされた、今にも邪神の饗宴に焚べられんとしている娘を見遣って。
《ク、クク……アイホートの苗床の末路は、成長した雛に肉体を食い破られての死。愉しみだ、ああ、愉しみだ!》
「…………」
虚空より感じる、もう一体の『魔王』の気配。蔑み、彼女と嚆矢の死を待ち望む悪辣な虎口を。
「征くぞ、ショゴス……“悪心影”────!」
『てけり・り! てけり・り!』
《呵呵────心得たり!》
被服にショゴスを融かし、漆黒の帷子を纏うように。鈍く煌めく長谷部を構え直す。
武者正調の上段、“合撃”の構えに。
《ハッハ────では、改めて。宝蔵院流免許、鷹尾 蔵人!》
悍ましき槍騎士が構える。右足を前に出した宝蔵院流の基本、“四股”の構えに。伴われた名乗り、それに。
「……柳生新“影”流兵法、対馬 嚆矢」
《ほゥ、そこにアクセントを置くと言う事は……成る程、西国柳生……福岡派かい? 成る程、それ故に“圧し斬り長谷部”か。忠義な事よ!》
応えたのは、事実。五年間、義父から血反吐を吐かされながら鍛えられた剣派を。
得心したらしく、槍騎士は十文字の溝穴から紫の八つの複眼が覗く兜に包まれた表情を、恐らくは歓喜に歪ませたのだろう。
互いに、武芸者。得物を突き合わせたのならば、先に勝利した方が真の『武』に他ならない。
「《────参る!」》
その誇りに掛けて、二人の武芸者は……全く同時に血斗の幕を斬って捨てた────!
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