第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
27.Jury・Night:『Graaki-Apocalypse』
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円形の口吻を備えた……数フィートもの怪物が。
その眼差しと、心底からの悪意と見詰め合ったが故に。落涙に吐き気と……失禁だけは辛うじて堪えて、その全てを。
無理だ、膝を折るしかない。自らの強さなど、あんなものの前には無意味だ。無理だ、屈するしかない。自らの存在理由など、あんなものの前には消散する以外に無い。
「あれこそが、我らが神────“屍毒神”だ!」
同じく、滂沱の涙を流しながら。蔵人は叫ぶ。その名を、誇るように。本人すら、本心からそうだとは思ってはいまい。しかし、そうでなくてはいけないのだ。
「ッ──あ、れが……」
目を逸らす事無く、それを睨み付ける。あれか、あれがそうか。
あれが、敵か。
意志を、新たに。戦意を立て直す。そうだ、倒さないと。対馬嚆矢は、佐天涙子を救うのが存在理由なのだから。
──ならば、戦える。立ち向かえる。それが、例え人の認識を越える存在『旧支配者』でも。俺は、『女の子に酷い事はしない』し、『させない』のが、第一目的。
だが、膝は立たない。何故なら、重量一トン近い駆動鎧に押さえ付けられているから。それが、それだけが、悔しい。
「無駄だよ、対馬君。駆動鎧は現代における最強兵器。如何に君が能力者でも……無理なものは、無理だ」
『無理だ』と、蔵人が笑う。黙示録から、黒い十文字槍を抜き出しながら。
刹那、背後に揺らめく混沌がある。囁くように、嘲笑うように。
《呵呵……さて、そろそろ儂の出番かのう?》
(巫山戯ろ、クソッタレが……テメェ、今まで何してやがった!)
背後に現れた“悪心影”に、悪態を吐く。今まで何をしていたのか、と吐き捨てて。
手元に召喚した『圧し斬り長谷部』、その重みに、心地好さすら感じて。
《呵、儂を頼るでないわ。己すらも頼りとせぬなど、こちらからも頼りに出来ぬと言うものよ》
悪態に、悪態が返る。当たり前だ、嚆矢と市媛の関係などはそんなもの。長谷部を押さえ付けられたままに引き抜き、その嫌味を聞きながら。
『均衡崩壊』なる能力の影を、背後に抱えて。
『ギッ……アギャアァァァァ?!』
瞬間、押さえ付けていた駆動鎧が────炎上する。同時に凍てつく。温度の均衡の崩壊により。暴れ、拘束を解いた。嚆矢を逃がした。そんな、駆動鎧に。
『く、ハッ────あ、た、隊長……?』
「哀れ……
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