第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
27.Jury・Night:『Graaki-Apocalypse』
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そ嘆いた女に次いで、嘆きを消した男の嘲りに。『詰まらない』、と。間違いなく、本心から────娘は、嗚咽するように肩を揺らして振り返り……歩き出す。
刹那、『時間』が進み出す。無限の現在が終わる。時間の回廊が崩壊する。
「さぁ───機械のように冷静に、チク・タク。チク・タク。機械のように冷厳に、チク・タク。チク・タク。機械のように冷酷に、チク・タク。チク・タク────」
(ッ────?!)
動き、軋み、崩壊する封鎖宇宙。最早、立っているかどうかも分からないのに、転んだ気がする程に。
「……マーテル三姉妹が末妹“テネブラルム”よ、白痴と暗愚の生け贄さん────にゃる・しゅたん、にゃる・がしゃんな! にゃる・しゅめっしゅ、にゃる・しゅめっしゅ!」
『テネブラルム』と名乗った女が、時間の波間に消える瞬間に口にした祝詞。或いは呪詛。それに、魂が震える。余りの神々しさに、余りの禍々しさに。若しくは、己だけではなく────どこか、違う次元から覗いていた『魔王』すらもが。
《《────“時間人間”め》》
同時に、畏怖と共に誰かの名前を────……
………………
…………
……
今度こそ、意識が現実に覚醒する。まず、最初に感じたのは饐えた空気。次いで、湿ったコンクリートと────コンクリートにこびり着いた、赤黒い染み。鉄臭い臭気の、酷く……芳しい香りが。
胸の傷に痛みはない、引き攣れたような感覚を残すのみ。すんでのところで命じた、ショゴスの毒素排出と傷跡の補填が間に合ったようだ。
「おや……目が覚めたかね、対馬嚆矢君?」
声が、頭上から。眇に見遣れば、映る雪駄。甚平、扇子──笑みの張り付いたスキンヘッドの男。
「……鷹尾、蔵人」
「おう、覚えていてくれたかい? 嬉しい事だ、血気に溢れた若武者の記憶に残るとはな? ハッハッハ……!」
ぱしん、と小気味良い音を立てて。己のスキンヘッドを叩きながら、蔵人は見下すようにほくそ笑む。
それを無感動に眺めながら。状況把握、現在地点……敵地。現在時刻……午後六時予想。存在理由……鷹尾 蔵人による略取。及び、駆動鎧ののしかかりによる拘束。
身体状態……痺れはあるも、行動制限となる程にあらず。だが、駆動鎧は動かせない。
しかして、行動目的に変更無し────佐天涙子の奪還!
「さてさて、疑問に思っているだろう? 何故、私が生きているのか───」
「どうでもいい。涙子ちゃんは何処だ」
「ふぅむ、第一声がそ
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