空白期 中学編 01 「始まりの朝」
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くてもいいだろう。俺がレヴィだったら泣いててもおかしくないぞ。あいつって元気の塊みたいだけど、意外と泣き虫なところあるし。
……けどまあ、俺になら言っても大丈夫だろうってことで言ってるんだろうけど。ディアーチェという人間を多少なりとも知っている身としては、別に今のくらいで泣いたりもしないし、傷つきもしないんだから。
そう思いつつ食事を進めていると、鈍い音が響いてきた。ディアーチェはその音に驚いたようだが、ため息をひとつ吐くと箸を進め始めた。
「やあ……ふたりともおはよう」
「ん、おはよう」
「おはようございます。ぶつかった音が聞こえましたが大丈夫ですか?」
「あぁ問題ないよ……いやぁディアーチェは優しいな。それに引き換え……」
背後に視線を感じるが、振り向いたりはしない。あの人が寝起きに何かにぶつかったりするのはいつものことなのだ。まあ早起きした点に関しては褒めてもいいとは思うが。
「これが反抗期というものか……」
「別に反抗はしてない。これまでに何度もあったのにいちいち反応するのもあれなだけ」
「そうだろうか? 最近は頭を撫でたりもさせてくれないじゃないか?」
いやいや、中学生にもなって頭を撫でられたいとは思わないだろ。そもそも、そういうこと前からあまりしてなかったと思うが。関係性が変わったばかりの頃は何かとしてきてたけども。
「あのさ……俺ももう年頃なんだけど?」
「ふむ、それは確かに……ディアーチェに何かしたら責任は取るんだよ」
レーネさんの時間帯を考えない発言に、ディアーチェが盛大にむせた。何も口に入れていなかったことが不幸中の幸いだと言える。
「な、何を言っているのですか!?」
「ん、ジャンルで言えば保健体育……いや倫理だろうか。待てよ、この場合は青春という言葉を使ったほうが……」
「あぁもう、そのへんはどうでもいいです。黙って食事にしてください!」
うん、朝から実に騒がしい食卓だ。……まあひとりで食べていた頃に比べれば、騒がしいのも悪くないと思うが。
ファラやセイバーは昨日からメンテナンスでいないけど、いたらもっと騒がしいんだろうな。でも家族って感じもする……
「貴様は何を笑っておるのだ?」
「ん? いや……」
「やれやれ……いいかねディアーチェ、君は魅力的な女の子だ。ショウもさっき自分で言ったように年頃。君のような女の子と一緒に暮らし、共に学校に通うんだ。嬉しくないはずがないだろう」
「なっ――なな何を言っているのですか!? ショウ、貴様も黙ってないで何か言わぬか!」
「うーん……でも多少は当たってるからな。お前が来てくれて嬉しくはあるし」
と口にすると、湯気が出ていそうな錯覚が見えるほどディアーチェの顔が赤く染まった。
――まずったな
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