第三十三話 神もなくその五
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「これでもね」
「そうですか、まだですか」
「相当にいい攻撃だけれど」
それでもというのだ。
「私の回復力はまだあるわ」
「想像以上に強いですね」
その回復力が、とだ。桜はそのことを再認識した。
「これは」
「そうよ、私はほぼ不死身よ」
「ほぼ、ですね」
「そう、ほぼよ」
「そういうことですね、ではここは」
桜は怪人の言葉を受けた、そうしてだった。
その攻撃をまた変えた、今度は。
レイピアを通常の、テニスのそれではない構えに持ってだ。そのうえで。
一気に突っ込む、その横では。
菖蒲がウツボカヅラの怪人と闘っていた、その中で。
冷静にだ、無数の蔦達を見つつ言った。
「水で駄目なことはよくわかったわ」
「貴女の攻撃自体がね」
「確かに貴女の回復力は高いわ」
「その通りよ、私もまたほぼ不死身なのよ」
「そう、ほぼね」
「そのことはわかっているわね」
「よくね。けれど」
それでもと言うのだった、ここで。
そしてだ、そのうえでだった。菖蒲はその攻撃の仕方を変えた。彼女もまたそうしてだった。
剣を一閃させた、そして。
その剣からだ、水ではなく氷を放った。しかも菖蒲がよく放つ氷の刃ではなくそれは一直線に剣とつながっていて。
怪人の身体に触れるとだ、そのまま全身を覆ってだった。
その冷気で怪人の全身を瞬時に凍らせた、そこでだった。
怪人の背に菖蒲の星の符号が出た、それが勝利の証になった。
桜もだった、怪人に対して一気に突っ込み。
そのレイピアで怪人の眉間を貫きだ、そこからさらに。
一気に風、彼女の力を出してだった。脳を完全に貫いた。それでだった。
この怪人の背にも符号、桜の星のそれが浮かんだ。桜もまた勝った。
その二つの富豪を見届けてだ、菖蒲はクールな声で言った。
「この通りよ」
「氷ね」
「植物は氷に弱いわね」
「その通りよ」
ウツボカヅラの怪人はその菖蒲に言った。
「そのことに気付いたのね」
「そうよ、ただ」
「それを仕掛ける時を待っていたのね」
「気付いてからね」
そうだったというのだ。
「それが上手にいったわね」
「水では倒せなくともね」
「氷は違うわね」
「ええ、確かに植物は冷気に弱いわ」
「その冷気の象徴の氷を使えば」
まさに、とだ。菖蒲は言葉を続けていく。
「この通りよ」
「負けたわ、本当に」
「私もね」
桜に脳を貫かれたハエトリソウの怪人も言う、その桜に対して。
「完敗よ」
「貴女は『ほぼ』不死身と仰いましたね」
「その通りよ」
「しかし脳を射抜けば」
「それで終わるわ、確かにね」
「例えどの様な生物でも」
それこそだ、怪人であろうともだ。
「倒せます」
「けれど私はね」
そ
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