第三十三話 神もなくその四
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風の刃をテニスの要領でレイピアから出しつつだ、ハエトリソウのその口を断ち切りそれを付けている蔦を切っていく。
だが蔦は切られても切られても次が来る、しかし桜は言うのだった。
「こうして切っていれば」
「捕まることはないというのね」
「はい、噛むつもりなら」
それを狙う相手ならというのだ
「噛まればなければです」
「いいというのね」
「そうです、こうして切っていれば」
「それはその通りよ、けれどね」
「切っていてもですね」
「私の口は幾らでも出て来るわよ」
それこそだ、ギリシア神話のヒュドラーの首の様だった。口は切られても切られても回復し元に戻る。蔦を断ち切ってもそこから口が生える。
「この通りね」
「そうですね、確かに」
「私もあの娘もね」
ウツボカヅラの怪人を横目で見ての言葉だ。
「生命力は相当なものよ」
「怪人の中でも」
「そうよ、幾らでも生えるわよ」
それこそ次から次にというのだ。
「無限にね」
「それだけ回復力が凄いということですね」
「そういうことよ。その私にね」
自信に満ちた声だった、この怪人のそれもまた。
「そうした攻撃は意味がないわよ」
「そうですね、しかし」
「私の攻撃は防いでいるわね」
「そうしています」
「それはそうね。けれどね」
やはり自信に満ちた声で言う怪人だった。
「何時までもつのかしらね」
「もたせる必要はありません」
「貴女が倒されるかしら」
「逆です、勝つのは私です」
桜は穏やかな微笑みと共に言葉を返す。
「ですから」
「奇麗な顔をして相当な自信家で気も強いわね」
「奇麗ですか」
「ええ、男の子にももてるでしょうね」
「そうしたことはありませんが」
「それはあまりにも奇麗だからかしら」
怪人は闘いの中で笑ってもこう言った。
「それでかしら」
「そう言われますと」
「恥ずかしいかしら。けれどね」
「闘いは、ですね」
「無慈悲なものよ、幾ら奇麗でも」
それでもだとだ、怪人はその桜に対してだった。
その向ける口を増やしてだ、そのうえで。
攻撃を強めていく、だがここでだった。
桜は攻撃の仕方を変えた、これまでの鎌ィ足から竜巻に変えた。
自分の大きさ程もある竜巻を怪人に向けて放った、しかし放ったのは一つだけでなく次から次にとだった。
怪人の差し向けるハエトリソウの口達、宙にあるそれにも向けてだった。潰していく。しかもその竜巻達をだった。
桜は一つ一つ己の意志で操った。竜巻はただ飛ぶのではなく彼女の意志に従って上下左右に飛んでだった。
怪人の口を潰しそうしてだった、怪人にも当たり。
怪人本体にダメージを与える、だがまだ怪人は余裕だった。
「いい攻撃ね。けれど」
「それでもですね」
「
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