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美しき異形達
第三十三話 神もなくその二
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「待つことはしないわ」
「では貴女も」
「そうよ、こうしてね」
 身体のあちこちに付いているそのハエトリソウの口を幾度も噛み合わせさせつつだ、ハエトリソウの怪人は自分の相手である桜に対して言った。
 そしてだ、その口達がだ。
 伸びて来た、そして蛇の頭の様になって怪人の周りで蠢きだした。今度は薊がその怪人の姿を見て言った。
「また気持ち悪い姿だな」
「奇麗よね」
「少なくともこれまでの怪人で一番不気味だぜ」
 自分の姿を誇る怪人への言葉だ。
「桜ちゃんがどう相手をするのか見ものだけれどな」
「ご安心下さい」
 桜は笑みを浮かべて薊に顔を向けて告げた。
「私は必ずです」
「勝つんだな」
「はい」
 いつもの桜らしい優しい笑みでの言葉だった。
「これまで通り」
「だよな、どんな怪人でもな」
「私は勝ちますので」
 それで、というのだ。
「この勝負もです」
「だよな、だから安心して見させてもらうぜ」
「それでは」
 桜はこう薊に言ってだ、そうしてだった。
 レイピアを構えてだ、そのうえで怪人に言った。
「ではこれより」
「ええ、はじめるわよ」
「そうしましょう」
「面白いわね、その武器はレイピアね」
 怪人は桜が手に持っているその武器を見て言った。
「西洋の剣の一種ね」
「その通りです」
「そのレイピアの持ち方がね」
 それが、というのだ。桜のそれが。
「面白いわね」
「そうなのですか」
「その持ち方はテニスね」
 それだった、まさに。
「テニスの持ち方ね」
「そうです、私はこの構えをすることも多いです」
 高校の部活はテニスだ、それの影響であることは言うまでもない。
「今の様に」
「そういうことね」
「左様です」
「理由はわかったわ」
 ここではこの一言だけだった。
「ではその持ち方でね」
「闘います」
 桜は怪人に対して答えた。
「それで宜しいですね」
「安心して、私は寛容よ」
 余裕を以てだ、怪人は桜に返した。
「相手の武器の持ち方にはこだわらないわ」
「左様ですか」
「どちらにしろ倒すから」 
 自分が、というのだ。
「それでこだわる必要はないわ」
「自信がおありですか」
「ええ、確かなそれがね」
「わかりました、同じですね」
「貴女も自信があるのね」
「だからこそ闘います」
 臆することなくだ、桜は言葉を返して。
 そのうえでだった、怪人との闘いに入った。菖蒲も桜もそれぞれの相手との戦闘に入るとすぐにだった。
 菖蒲は間合いを離したままだ、剣を振り。
 己に迫る蔦達に水の刃を放った、その刃でだった。
 蔦を切って己の身を守る、だが。
 蔦は切られてもすぐに伸びて来てだった、菖蒲に迫って来る。菖蒲はその蔦達を見て表情を変え
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