第十二幕その九
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「他のことをしましょう」
「そうですか、それじゃあ」
「百人一首はどうだい?」
教授が一歩前に出て皆に提案してきました。
「この遊びは」
「あっ、百人一首ですか」
「カルロス君も知ってるよね」
「はい、日本の遊びですよね」
「そう、歌を謳ってね」
「その歌が書かれているお札を取る遊びですね」
「それはどうかな」
こう提案するのでした。
「どうかな」
「そうですね、それじゃあ僕は」
まずはカルロスが答えてです、他の皆もです。
「それじゃあ今は」
「百人一首をして」
「それで遊びましょう」
「御飯までは」
皆もそれぞれ言ってでした、そうして。
実際に皆でテーブルを囲んで百人一首をするのでした。ですがここで恵梨香が皆にこうしたことをお話しました。
「実は百人一首は」
「本来は和室でするのよね」
「はい、そうなんです」
こうです、お部屋に来たトロットにお話しました。
「日本では」
「日本の遊びだからね」
「だからです」
「和室なのね」
「畳の上でします」
「畳だけれど」
トロットはその畳についてこうしたことを言いました。
「あれはね」
「何かありますか?」
「最初見た時はびっくりしたわ」
「そうよね」
ベッツイもトロットのその言葉に頷きます。
「あれは」
「オズの国にもないわよ」
「あんな不思議なものは」
「靴を脱いであがって」
「その上に座布団をしいて座ってね」
「あんな不思議なものはね」
「見たことがなかったわ」
「オズの国にも畳はないんですね」
「ええ、日本だけよ」
「日本にしかないものよ」
それが畳だというのです。
「あれは本当にね」
「見たこともなかったわ」
「だからね」
「日本人はね」
「あの畳の上で休んで寝て遊んで」
「凄く不思議な世界にいると思うわ」
「私は普通だと思ってますけれど」
日本人の恵梨香にしてみればです、そうだというのです。
「けれど違うんですね」
「日本以外の国ではね」
「凄く不思議なものよ」
「他にないっていう位のね」
「オズの国にもない位の」
不思議な物事で一杯のこの国にもないというのです、畳は。
それで、です。トロットは恵梨香に言うのです。
「今度は畳の上でね」
「「この百人一首をですね」
「ええ、しましょう」
こう言うのでした。
「次にする時はね」
「そうですか、それじゃあ」
「次はね」
「こうしてテーブルの上でするよりもですね」
「百人一首は畳の上でした方がいいから」
その方が雰囲気が出るからです、トロットはそのことをよく知っているのです。そうしてなのでした。
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