GGO編
八十八話 鉄火場
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した姿勢のまま脇の下を通して左手のMP7を右に向ける。
パパパパパンッ!と言う音とともにかなり軽いリコイルショックが腕に伝わる。フルオートで放たれた十発の4.6x30mm弾が、彼女の右横で銃を構えていた黒服に当たり、体をはねさせながら黒服はもんどりうって後ろに倒れる。装てんされている弾丸は40発。残弾は十分にある。と、その奥に更に二人の黒服が自分にAKを向けているのに気付き、彼女は舌打ちして、バックステップ。射線から離れようとするが、そこで気付いた。黒服達に赤い光の線が当たっている。あれは……
考え切るよりも前に、タララララララララララッ!ッと言う殆ど途切れの無いフルオートの射撃音が聞こえ、横から黒服達に弾丸がぶち当たる。二人をいっぺんに撃ったせいか彼等は怯んだだけで倒れないが、その隙を逃すまじとばかりにMP7を向ける。間髪いれずに引き金を引いて、そのまま彼等は倒れた。
「ナイスアシスト!!」
自分でも自覚できる程に楽しげに笑いながら、彼女は相変わらずキーの高い自分の声で叫ぶ。
「どうも!」
バーカウンターから顔を出していた女性のような顔立ちの青年は、ニヤリと笑うと片手で持ったMP5の銃口を上に向けて溜息。が、その彼を、突然何本もの赤い光の線が貫く。
「っ!その光の線避けて!!」
言いながら、自分の方へも向いて居た赤い光を避けるために、近くにあったルーレットの台の裏へと飛び込む。
「は?うおおおぉぉっっ!!!?」
直後、ドガガガガガガガガガガガガガガッッ!!と言う彼女達の物と比べると幾分か重めの銃声が鳴り響き、バーカウンターと青年が居た部分を蜂の巣にする。幸い、寸前で青年は頭を引っ込めたため何を逃れたようだった。
あの赤い光は、《弾道予測線(バレッド・ライン)》と言うこの世界における守備的システムアシストだ。攻撃側に、自信の心音に反応して着弾地点の収縮、拡大を繰り返す攻撃用システムアシスト。《着弾予測円(バレッド・サークル)》が有るのに対し、この線は、自身に対して攻撃を行う弾丸やレーザーの描く軌道が前もって表示されるシステムである。これのお陰で、度胸と反射神経さえあれば、フルオート射撃でも人によってはかなり回避できる。
「にゃろっ!」
と、青年がカウンターからMP5を腕だけで出して反撃を試みているのが見えた。数発が黒服に命中するが、それだけでは流石に怯まない。
それどころか……
──カチッ、カチッ……!──
「ちょっ……!?弾切れかよっ!?ちょっと!予備弾倉は!?」
「ごめーん!出してる暇なーい!!」
「ちょおおおお!」
悲痛な声に苦笑しつつ、彼女はこの場を切り抜ける策を考える。
「しょうがない!」
流石に中途半端にMP7で射撃しても切り抜けることは難しそうだ。此処は……
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