R.O.M -数字喰い虫- 1/4
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世界は、数字に溢れている。
嘗てインドで生まれ、アラビアから広まった10進記数法は、既に世界へ飛び立って久しい。
算用数字である0から9までの数字は、ありとあらゆる文化圏に於いて利用され続けている。
人は数を数えるのに数字を用い、月日をはかるのに数字を並べ、経済を回すために数字を弄ぶ。
貨幣や紙幣には数字がついている。
レシートには数字が並んでいる。
調査結果には数字が附随する。
指数、調査結果、値段、年数、果ては時代。
過去から現代を通して未来に到るまで、人類は数を用いて認識世界を押し広めてきた。
だが、同時に数字の中には「魔」が住まう。
数字は人の認識と思想を変える。
数字は人の知らぬ存在を無言で告げる。
数字は常に人を悩ませ、ジレンマやパラドックスを吐き出し続ける。
これは、そんな数に纏わる「魔」の、ほんの一部を切り取った都市伝説の一つ。
= =
「お願い!これで最後だから!ノート貸してっ!!このとーりだからっ!!」
「美咲ちゃんってばいつもその通りじゃない……もうすぐテストだって分かってるんなら何で授業中に寝てるの?」
「だって眠いし!何言ってるか分かんないもん!!」
「もう……私だって勉強したいんだから、偶には赤点取ったら?」
「そ、そんな殺生な!後生!後生でござる!!」
合掌しながら必死に頼み込む美咲だったが、それに対する春歌の反応は非常に冷ややかだった。冷たいようにも見えるが、二人の間にある事情を知っていればこの反応も無理らしからぬことである。
美咲はテストが迫ると決まってこのように春歌に頼み込んでノートを見せてもらおうとする。最初の頃こそ笑って貸してあげていた春歌だったが、それも2回3回と回数が重なり、更にテストギリギリまで借りっぱなしで返そうとしないとなると話が変わってくる。
春歌は美咲に比べれば学力は高いが、それでも自筆したノート無しに勉強するのは辛いものがある。自分が後で見直してわかりやすいように書いてるのだから、自分で復習することを前提としているノートだ。それを重要な時期ばかり借りると言いながら持って行かれてはたまったものではない。
そもそも、このような事態に陥ったのは単純に美咲が苦手な数学の授業で鼾をかきながら爆睡しているのが主たる原因である。困るのは自業自得。多少教えてあげるのは構わないが、自分で努力もせずにノートばかり借りていく美咲の勝手気ままな性格に、いい加減に春歌は辟易していた。
「だーめ!偶には自分の不始末を自力で片づけてくださいーっ!」
「むう、どうせノートなくても赤点は取らないくせに!こちとら春歌のノートなしには赤点確定なんだよ!?他に貸してくれる人
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