トワノクウ
第二十二夜 禁断の知恵の実、ひとつ(三)
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うか!?」
面白いものを見たとばかりの菖蒲に助けを求める。
「おやまあ、複雑な解き方があるんですね。ですが、その和算ならもっと簡単に解けますよ」
「なんと!?」
これ以上に効率的な解法があるというだけで、くうにはびっくり仰天だ。
「ねーちゃん変なのー」「むつかしー」「わかんなーい」
「え、え、えええ!?」
学童の一人がくうから筆を奪って図形を描き足す。
「円の中のちっこい三角ひっくり返せばいーんだよ。な、先生!」
「よくできました」
菖蒲はその子の答案に朱筆で〇をつけた。すると本当は自分も分かっていたぞ、と学童たちが我先に菖蒲に〇を貰いに殺到する。
(こんな解き方、学校でもウェブでも習ってない。数学のテキストにも載ってなかったのに)
――この解法をかしこさ≠セと今日まで信じてきたくうは何だったのだろう。ここの学童のほうが本当の意味でかしこい=B
(やっぱり私が知ってることなんて本当にすごいことでも何でもなかった。それを一番だと思ってた私って、ほんとつまんない人間だ)
採点を終えた菖蒲が手を二つ叩いた。
「はいはい。全員が解けましたから、次の問題を出しますよ。席に戻りなさい」
はーい、と学童が卓に戻る。
「篠ノ女さんも、めげる暇はあげませんよ。次の問題です」
「は、はひっ」
新しく出された問題を、次こそは、と勇んで考える。
いつのまにやら見学≠ゥら参加≠ヨと題目が変わっていたが、当世風の効率的かつシンプルな和算の解き方を修得するのに夢中だったくうは、全く気づかなかった。
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