第6章 流されて異界
第107話 チアガール……ですか?
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とでもなるわ」
拳を握りしめ、ダメなスポーツ関係の指導者に付き物の精神論を口にするハルヒ。もっとも、本当にそんな物でどうにかなるのなら、真冬の高緯度地域……オーロラの輝く下を薄着で過ごしたとしても、誰も凍死などしなくなるでしょうが。
そんなツッコミを心の中でのみ入れる俺。しかし、
「それに、そんなにみくるちゃんの事が気に成るんなら、あんたが何とかしなさいよ。其のぐらいの事は簡単に出来るでしょう」
……と、先ほどに比べるとかなり小さな声。おそらく、俺にだけ聞こえたら良い、と考えての事だとは思いますが、そう言う小さな声で呟くハルヒ。
ただ、位置関係から言って、俺に聞こえたと言う事は、彼女の左右に座る朝比奈さんや、朝倉さんには聞こえたと思うのですが。
「あ、あの、大丈夫ですよ、武神くん。実際に試合に出る訳じゃなくて応援だけなら、何の問題も有りませんし……」
半ば諦めた者の表情及び口調で、そう答える朝比奈さん。その言葉の後ろに御丁寧にも小さなため息をひとつ吐き出す。
しかし、そんなに嫌がって居ると言う訳でもなさそうなのは……彼女自身がチアガールのコスプレ姿が楽しみ、だと考えている訳ではなく、無理矢理に試合に引っ張り出されない事への安堵のように感じる。
……と言うか、そんな事に安堵するって、朝比奈さん、ここに至るまでにどんな目に有って来たんだ?
そう考えながら、メイド服姿の先輩を見つめる俺。その瞬間に浮かぶ疑問。そう言えば、彼女は何故、当たり前のようにメイド服姿で――
「ほら見なさい。みくるちゃん自身が喜んでいるんだから、外野がウダウダと細かい事を言わないの」
――過ごしているんだ? ……と言う至極真っ当な疑問に到達した俺に対して、まるで鬼の首を取ったかのようにひとつ大きく首肯いた後に、そう続けるハルヒ。腕は当然のように胸の前で組み、普段通り、非常に偉そうな仕草で。
ただ、彼女自身の見た目が良いのと、今日の場合は服装がシックで、更に柔らかく感じさせるので……。
「それじゃあ、今夜はこのまま有希の部屋に泊まって、明日は朝から野球の特訓よ!」
普段ほどは腹が立たない。……などと呑気に考えて居た俺の耳に、聞き捨てならない一言が聞こえて来る。
但し、普段の彼女に対して腹を立てて居る訳はないのですが。いや、彼女の場合はむしろ呆れて居ると言う方が正しいのですから。
ただ……。
「ちょいまて、ハルヒ。俺はそんな事、一言も聞いてないぞ?」
聞き捨てならない一言――このまま、この部屋に泊まると言う内容。確かに、この状態から、それぞれが、それぞれの家に帰って就寝、明日の朝に再び集まるよりは時間のロスは少なくなるから理に適うとは思います。
但し、それは全員が女性である、
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