第6章 流されて異界
第107話 チアガール……ですか?
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は鈍感と言う感じじゃないから、判って居てはぐらかしている感じか」
……などと、明らかに、俺に対して聞かせる為の独り言をつぶやく。
成るほど。判って居るのにはぐらかすか。但し、朝倉さんは少し踏み込んで考え過ぎ。ハルヒが俺に向けて居る感情は愛や恋に近い感情などではなく、もっと幼い独占欲のような物だと思う。確かに、その辺りの微妙なさじ加減が判るほど俺も世慣れて居る訳ではないから、確実にそうだと断定出来る訳では有りません。……が、しかし、有希が俺を前にして発して居る雰囲気と比べるとその違いは判る――心算。
この辺りの差異について、言葉にして表現するのは難しいのですが……。
有希が発しているのは明るさ。確かに、少し暗い部分を感じる事は有るけど、これはおそらく俺を呼び寄せて仕舞った事に対する引っ掛かり。……だと思う。
対してハルヒが発して居るのはもやもや感。これの明確な理由が判らないから、常に不満が有って、不機嫌になって居る。
こんなの、他人から指摘するのは逆効果。意固地になって返って状況を悪化させるだけ。さっさと自分でそのもやもや感の原因に気付かなければ、この状態はずっと続くだけ。
ハルヒに取って俺は貴重な……口では文句を言いながらも、何やかやと話の相手に成ってくれる異性の友人で、更に子分扱いにしても愛想を尽かされない相手。いくら我が儘な彼女でも、俺が本気で迷惑だと思って居たら、ここまで傍若無人に振る舞う訳はありません。
……と言うか、こちらの世界に来てから判った事は、基本的に彼女が直接傍若無人に振る舞う相手と言うのは俺だけ。その他の人間に関しては、多少、顔色を窺いながらと言う微妙な気遣いを見せているように思います。
ただ、そうかと言って、俺の側に恋愛感情があるとも思えない、基本的に安全牌と言っても良い相手。その俺の周りに自分以外の女の子が近寄って来たら、何となく嫌、と感じたとしても不思議では有りません。
ここを出発点として進めばこれが恋愛感情へと進む可能性があるのでしょうが、残念ながら俺の方が其処まで長い間、この世界に留まる事はないでしょうから……。
「何よ、それじゃあまるであたしが子供で、こいつが大人みたいじゃない」
そんな訳ないじゃないの。こいつは所詮、あたしの子分なんだから。
文句は言いながらも、この会話が始まった当初よりそれ程、不機嫌と言う雰囲気ではないハルヒ。
ただ、この俺の対応が朝倉さんから見ると大人……に近い余裕を感じさせるのは、ただ単に俺がハルヒの気を読んで居るから。言葉や表情。態度などに加えて、一番情報量の多い相手の発して居る雰囲気を読む事に因って、ハルヒの考えている事を想像してから対応を決めているから。その事を知らない人間から見ると、俺が余裕を持った対応を取っているように見
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